[製品開発ストーリー Vol.2] コンセプトはベーシック

2006.10.07

[製品開発ストーリー Vol.1] はじまりは偶然からのつづき…

製品を作るにあたり、どんな仕様のものをどんな価格帯でいつまでに出荷をするか、ということをまずは構想として考えました。

【製品仕様】
・素材はシリコン(厚さ1mm)
・色はクリア
・ケースに入れたままLockスイッチ、オーディオコネクター、Dockコネクターにアクセス可能
・ディスプレイ部とホイール部はくり抜き、別途スクリーンプロテクター

【ターゲットプライス】
・税込1,280円以下

【出荷時期】
・製品発表から1ヶ月以内

まずはおおざっぱに上記のことをJudyに伝え、詳細を詰めていくことにしました。この中で一番大事なのは【出荷時期】と考えていました。どこよりも早く店頭に並べることで大きなアドバンテージを得られることは、これまで他社の製品がいち早く店頭に並ぶのを指をくわえてみていた側としては身にしみてわかっていることでした。

実際のAppleの発表の数日前にはいろいろな情報を検討した結果、5G iPod(Video)には大きな変化はなく、iPod nanoのラインナップが一新するだろうということを確信していました。iPod shuffleについては、前日になって変わるという情報が入ってきましたが形などはまったくわかっていませんでした。iPod shuffleに関しては、ケースというものが必要なのかどうか、という根本的なところもあったので、今回はiPod nanoだけに集中して考えようということにしました。

【製品仕様】について。iPod nano本体がカラフルなラインナップになるということはわかっていましたが、それに合わせてたとえばMarwareのようなところからカラフルなラインナップのケースが出てくることは明白だったため、色味が事前にはまったくわからない状況で、またケースのカラーリングに時間をかけてしまうと出荷時期も遅れてしまうため、最初はクリアというどのカラーにも合うものにするのが一番無難だという結論に至りました。

素材はシリコンということ自体は決定でしたが、カラーが「クリア」とは言っても、シリコンの性質上、まったく透明にすることはできないので、クリアに近づけるには薄さを追求していくしかありません。しかし、薄すぎると逆に切れてしまったりする危険性があるため、ちょうど良い厚さにする必要があります。これまで取り扱いをしてきたシリコン製品や、他社製品のものを検討して1mm以下だと切れる危険性もあるということで、1mmが最低ラインということにして製作をすることにしました。

「ケースに入れたままLockスイッチ、オーディオコネクター、Dockコネクターにアクセス可能」というのは当然のことながら、「ディスプレイ部とホイール部はくり抜き、別途スクリーンプロテクター」というようにしました。前述のように、ディスプレイ部をシリコンケースで覆ってしまうと、完全に透明にすることができないため、ディスプレイの視認性が著しく低下してしまうためです。また、ホイール部分に関しては、ちゃんと作れば最近のモデルのiPodはホイール操作の感度が上がっているため、シリコンケース自体でカバーしてしまっていても操作感にあまり支障はないのですが、そこだけ薄く作るのは少し高度な技術が必要になるのと、薄く作るために多少遊びができ、あまりスマートなイメージを持てないというのが、「くり抜く」という形にした理由です。もちろん、その部分をそのままにしておいては傷が付いてしまうおそれがあるので、ディスプレイプロテクターとホイールプロテクターを同梱することにしました。

【ターゲットプライス】についてはベーシックなケースであるがために、なるべく低く抑えて「買いやすく」そして「多くのお店で置いてもらえるように」ということで1,280円(税込)以下になるように考えました。とはいえ、これは製造コストを計算していってからの話なので、製品仕様などがしっかりと決まらなければ決定する訳にはいきませんので、あくまでもこの時点ではターゲットプライスということで設定していました。

また、【出荷時期】に関しても「1ヶ月以内」という設定をしましたが、製品仕様や数量にも影響してきますので、最初の段階では完全に決定することはできませんでしたが、Judyが「2週間で金型を完成させるから、3週間で出荷にこぎ着ける」という話をもらっていたので、まずはそれに合わせて動き始めることにしていました。

ここまでの準備で多くのメールをやりとりしつつ前日を迎えたのですが、一番心配だったことは、「iPodがまったく変わらなかったらどうしようか」ということでした。今回のプロジェクトはiPod nanoがラインナップ一新され、ケースもすべて作り直し、というサードパーティーが一列に並んで再スタートを切るという条件で始めているので、いま現在たくさんのシリコンケースが発売している中にあえて参入していくものではありませんでした。

iPodnano.jpg

そして9/13、iPod nanoが発表・即日発売になり、すぐに「購入に走り」ました。大きな変更点としてはLockスイッチ、Dockコネクター、オーディオコネクターの位置が変わっていること、そして本体が丸みを帯びていることでした。これはそれまでのシリコンケースすべてが変更を余儀なくされるということとイコールです。つまり、プロジェクトスタートのホイッスルは吹かれたのでした。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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