[製品開発ストーリー Vol.10] 土壇場の微調整

2006.11.11

[製品開発ストーリー Vol.9] シリコンケースは奥が深いのつづき…

最終的にできあがってきたサンプルは、アンチダストコーティングのおかげで埃はまったく付かない仕上げになっており、さらにはこの副産物として高級感のあるさらさらした手触りになっていました。これにはとても満足で、思っていたよりも良いカタチになったのですが、2つ不満がありました。

まずひとつは、ロゴのエンボスです。実は計画当初はまったくロゴを入れる計画はなかったのですが、Judyがせっかくだからロゴを入れようという話をしてきて、コストは変わらずに作れるというので話に乗ったのです。

TriLogo02.jpeg

台湾へ出発する前には上記のようなファイルを送ってもらっていたのですが、これでは全然よくわからず…(笑)。位置だけは「iPodとAppleのロゴには絶対にかぶらないように」という指示だけしてあったのですが、それ以外はサンプルを見るまでは何もわからない状態でした。

そして見た最終サンプルのロゴは…「なんだかよくわからないでっぱり」にしか見えませんでした(笑)。Trinityという字の方はそれほど問題ないのですが、リングとボールの方が難しいらしいのです。

TriLogo.jpg

確かに、色は付かないので凹凸だけでこれを表現しなければならないとなると厳しいのかもしれません。再度の修正をお願いするわけですが、修正するにはまた金型を工場に戻してやり直さなければなりません。

それと、いまここに写真がないので説明しにくいのですが、底面の部分の作りですが、DockコネクターとAudioジャックはしっかりと空いているのですが、それ以外のところが少し埋まっていたのです。これはiPodを収納した際に下から滑り落ちてしまわないようにという配慮の元になされたようですが、こうすることで逆にDockを使用した製品、たとえばApple純正のネックストラップFMトランスミッターなどと接続する際にケースから外さなければいけなくなってしまいます。

実際問題として、この「おさえ」がなかったとしてもシリコン素材の伸縮性からiPod nano(2nd)はしっかりとホールドされているので抜け落ちるという心配はありません。ということで、周辺機器が使えなくなるというデメリットの方が大きいと考えて、この部分をなくすように要望しました。

ちなみに、製品版は底面が完全に空いているので下から出し入れしようとする方もいらっしゃると思いますが、これは結構大変なのでディスプレイ部から出し入れするようにしてください。当社のシリコンケースはあまり薄さを追求していないのでキレてしまうようなことはありませんので、多少強く引っ張っても問題ありません。

さて、こちらの方も金型を変更しなければなりませんので、すぐに金型工場の方に再度移動することになりました。この頃にはもう夜も更けてきていましたが、みんな納期が何よりも大事だと認識しているからだと思いますが、誰もが「今日のところは終わりにしよう」とは言い出しません。聞くところによると以前日本の会社がある製品の生産を依頼してきて、その担当者は金型ができるまで工場で寝泊まりしていたそうです。だから「日本人は終わるまでは終わりじゃない」という認識があるみたいでした(笑)。個人的には、工場で待っていてもできることはないのだから、他のことをしていた方が良いのではないかと思うのですが…。

Staff01.jpg

TriLogo01.jpg

工場に到着してみると上記のようなおぢさんがなにやらコンピューターを操作して金型の調整をしてくれているようです(下はロゴの金型です)。ロゴをしっかりと出すためにはコンマ以下の単位での調整が必要なのだそうです。そして、底面の加工はかなり難しいらしく、調整だけではすまないということでした。その場でまたスクリーンプロテクターの時と同じように意味不明の中国語が激しく飛び交いました(わからない身としては喧嘩してるように見えましたが…)。

「ロゴの調整は明日までに可能。しかし底面の加工は金型の大幅な変更が必要なので3日ほどかかる」

3日かかるということは約束した納期を大幅に遅れることを意味します。それだと困るというと「それはわかっている。納期を守るためにはこの状態で生産して、あとでカットするしかない」というのです。そういうときのためのカットする金具があるということなので、その選択をすることにしました。初回の出荷が終わったらすぐに金型を直すということになりました。この決定をして金型工場から出たのはもう9時過ぎだったでしょうか。

Staff02.jpg

こういっては失礼ですが、およそiPodの周辺機器を作っているとは思えないほどのコンビで私たちをサポートしてくれました(笑)。なんとかこちらの条件の中でやりきろうということ、そして「なにがなんでもやらなければならない」ということを言ってくれてとても心強かったです。

次の日は台湾最後の日(実際にはその翌日ですが朝6時の飛行機なので「日」には数えられないので)。この時点でまだ本当の完成を見ていないので不安でした。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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