税金・税率について、よくある間違いに注意しよう

2013.07.27

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役員報酬についての記事を書いているときに、そのきっかけとなったインターネット上の解説ページをよく読んでみると根本的に間違っているところを発見しました。これはものすごく多くの人が勘違いしていると思いますが、税理士が間違えるわけはないのでこのページを書いている方は少し詳しい一般の方、ということになるのでしょうか。この間違いは周りの方の話を聞いていてもよく出てくるので、顧問税理士にも私の理解で間違っていないことを確認したので書いていこうと思います。
所得税でも法人税でも、その額によって税率が変わる場合があります。たとえば、今回の件を例に取ると件のページには下記の記載があります。

計画なしに売上が伸びてしまうと納税額が跳ね上がる!?

例えば、役員報酬を含む経費を引いた後の年間所得が800万円以下の場合、法人税の税率は15.5%ですが、800万円を少しでも上回ると19%になります。当初、年間所得800万なら法人税額は124万円ですが、意図せず業績が伸びて2000万円になった場合、法人税額は380万円になります。

現在の法人税法では平成23年度法人税関係法令の改正(注:PDF)によって、中小企業については800万円までの課税所得(ここでは簡易的に利益といいます)に対しては15%、それ以上については25.5%と定められています。(そう考えると、そもそもこの記述はどこからきたのか不安になりますが、ここは今回はあまり追及するポイントではありません。)

そしてここが大きな間違いのポイントですが、800万円以下の利益に対して15%がかかるのですが、たとえばそれが801万円になったとしても801万円に対して25.5%がかかるわけではないのです。たとえ利益が801万円になっても、実際には800万円までには15%の税率が適用され、800万円を超えた1万円に対して25.5%の税率が適用されるわけです。

件のページで説明されている例に当てはめて考えてみます。また、今回の指摘ポイントが税率ではなくて計算式についてなので「あえて」税率をこのページの数値に当てはめてみます。

・会社の所得が計画通り800万円だった場合:法人税額124万円

・予想以上に売上が伸びて2000万円だった場合:法人税額380万円

800万円までは15.5%なので124万円というのは正しいのですが、利益が2,000万円になった場合にはこの計算式は単に19%にしているので380万円となっていますが、実際には800万円には15.5%の124万円となり、残りの1,200万円について19%が課税されるので228万円、合計で352万円となるのです。

やっぱり気になるので、正しい税率にしてみると800万円以下は15.5%ですので120万円、これを超えた1,200万円に対しては306万円課税されることになりますので、合計で426万円ということになります。

ここで指摘したいのは、800万円を利益目標とした場合、800万円を超えると税率が上がるから納税額も跳ね上がってしまうので気をつけましょう(気をつけて売上を調整するということ?)というのは間違っているということです。たしかに、800万円を超える部分については25.5%の高率になるのですが、納税を気にするのではなくて、キャッシュフロー経営を行なっていれば利益にキャッシュが付いてくるわけで、納税するときの資金も手元に残せるという方向で考えた方が良いと思います。

この計算方法の勘違いは個人の所得税についてもよくありがちで、所得税率も累進課税になっていますが、これらも対象金額に対して対象税率をかけていく方式です。

195万円以下:5%
195万円を超え330万円以下:10%
330万円を超え695万円以下:20%
695万円を超え900万円以下:23%
900万円を超え1,800万円以下 :33%
1,800万円超:40%

現在の所得税率は上記の通りですが、これを見て年収が2,000万円の人は40%つまり800万円も税金で持っていかれるのだ、と考えるのは早計です。まず195万円に対して5%がかかり、330万円以下に対して10%がかかり、というように個別に計算していくのです。国税庁の所得税の税率というページではこれを簡単に計算する金額が書いてあるので、控除額がそこに達するまでの個別の税率を足したものと考えれば、2,000万円に対しては40%の800万円からそこまでの税額279万6,000円なので520万4,000円ということになります。このページに考え方の基本が書いておらず、単に控除となっているのでわかりにくく間違えてしまうのかもしれません。

これを理解していると、役員報酬を決める際に1,800万円を超えてしまうと40%になってしまうから1800万円までに止めておこうというのは間違っているということがわかります。本当によく間違えるポイントですので十分に注意しましょう。

なお、今回の説明では簡易にしてあるため、実際には基礎控除や社会保険料控除などもあるため、単純に年収といっても課税所得とは違うなど細かいことを突き詰めると状況が変わってきますのであくまで目安にしてください。詳しくは顧問税理士に相談すると良いでしょう。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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