稼ぐの意味とは。ネオヒルズ族と呼ばれる人の凋落を見て。

2014.04.27

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正直、与沢翼という人についてほとんど知識を持っていません。そんな人もいるんだな、くらいの知識だったので、こういうサイトを見てもなぜカウンターが回っているのかもよくわからない状態です。そんなに興味もなかったのですが、昨夜長い文章がFacebookでシェアされて回ってきたので、チラ見していたらネット上では結構盛り上がっているようなので軽く思ったことだけを書いてみたいと思います。
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公式ブログの「ご報告」というエントリーで冒頭下記のように書いています。

2013年8月期決算の法人税、住民税、及び事業税2億5千305万の支払いのうち約1億1千万円並びに2012年8月期の修正申告分の税として8940万7200円を追加で計約2億円支払い、並びに2014年8月期決算予定納税の一部を支払い、フリーエージェントスタイルの資金が完全にショートしました。

上記だけ見ると、8月が決算期のようでその期の経常利益に対する法人税、住民税、事業税が2億5千万円ほどあるという話の中で、1億1千万だけ払うというのがちょっと謎ですが、いずれにせよ修正申告をさせられた何かがあり、さらに痛いことに中間納税によっていわゆる「黒字倒産」状態に陥ったという事が分かります。

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ご自身で公開されているページの中に損益計算書が公開されており、この利益額というがそのまま記載されているためこの決算書が2013年8月期のものであり、実際に納税義務が生じていることがよくわかります。ちなみに、この損益計算書の書式は私もよく見ているので、弥生会計で出力しているのではないかと推測します。

黒字倒産とは、ビジネス上は利益を稼いでいるのにも関わらず、決済資金が足りなくなってしまい倒産に陥る現象で、いくつか理由は考えられますが経営上のミスである場合が多いです。今回も公開されている情報だけ見るならば回避できたように思いますので、まずは経営責任が大きくあると共に、顧問税理士が無能だった、もしくは経営者(与沢氏)がまったく助言を聞かなかったかのどちらかかなと思います。

貸借対照表の方が公開されていないので実際の会社の状況が分かりませんが、ビジネスモデル的には売上高が14億円程度ありつつ売上高総利益が8億円弱ありますので利益率で6割弱と脅威の高さを誇っています。さらになぜか損益計算書に棚卸し資産が記載されており(在庫は仕入として売上から差し引くことはできない)、これが400万円強ですからほとんど在庫を持たずに利益を稼げるものすごく良いビジネスモデルです。

ただ、これがこの与沢氏のアイデンティティであるご本人の収入に回している部分かと思いますが、販管費が4億2千万円計上されているので、会社としての利益は3億6千万円ということになります。それでも売上高営業利益率で25%で、在庫が400万円程度であれば資金繰りに困ることがあまり想像できません。

貸借対照表とキャッシュフロー計算書を見せていただかないといけませんが、普通に経営していれば黒字倒産する業績ではありません。この点については人の会社でもありますし、あんまり深く突っ込んでも仕方ないかなとは思います。

・月収1億の意味

ここまで見てくると少し疑問が生じてきます。月収1億円ということを大々的にうたって、それを見習えという商材を販売しているのがメインのビジネスなのかなと思っています(よく知らないので違うかもしれません)。その場合の月収とはどういう意味なのか。普通に考えると、この与沢氏のようになれるということで商材を販売しているので、与沢氏自身が月収1億円ではないかと想像すると思います。

ただ、損益計算書を見る限りにおいては販売管理費が4億2千万円ですから、これを全額与沢氏の役員報酬に宛てたとしても12ヶ月で割ると3500万円になりますので、到底1億円には届きません。小学生でも分かるとおり、月1億円「稼ぐ」ということでいえば12億円必要ですね。

そこで「稼ぐ」という意味の定義付けが必要になってきます。これは従来もよくテレビなどのサクセスストーリーを紹介する際に違和感を感じていたことです。年間1億円稼ぐビジネスに育て上げた何々の経営者とか出てきますが、この稼ぐという意味が「売上高」なのか「営業利益」なのか、はたまたその経営者の収入なのかが曖昧です。

今回の与沢氏の例でいえば、1億円が嘘ではないという前提で考えれば、会社として14億円売り上げているので、月間で1億1千万円強の「売上高」ということになりますので、これを月間1億稼いでいるという話にしているのではないかと想像します。

ネットで簡単に検索できるgoo辞書の「稼ぐ」という言葉の定義は下記の通りです。

1 生計を立てるために、一生懸命に働く。「骨身を惜しまず―・ぐ」

2 働いてお金を得る。「学費を―・ぐ」

3 試合などで、得点をあげる。「打点を―・ぐ」「下位力士を相手に星を―・ぐ」

4 (「点をかせぐ」「点数をかせぐ」の形で)自分の立場が有利になるように行動をとる。評価を高める。「母の手助けをして点を―・ぐ」

5 (「時をかせぐ」「時間をかせぐ」の形で)都合のよい状態になるまで何かをして時間を経過させる。「支度ができるまで司会者が時間を―・ぐ」

6 探し求める。
「繁華の都へ出て奉公を―・ぎ」〈黄・栄花夢〉

ここから印象を受けるのは売上高ではなく収入のように思います。ビジネスとして売上高が高くても、原価すれすれでまったく利益が出ていない、もしくは赤字のビジネスがあるとして、それを「稼いでいる」といえるでしょうか。

その意味で、与沢氏が「俺は月1億円稼げる男だ」と喧伝するのはちょっと間違っているかなと思います。ここらへんは言葉のマジックでもありますが、正直にいうならば、最大で月3500万円を「稼いでいる」とは言えると思います。実際には家賃や他の費用がかかっているはずなのでまるまる3500万円の役員報酬ではないと思いますが。よく知らない人ですが気になったのは代表取締役会長となっています。会長とは役員会の会長という意味ですが、そうなると代表権を持つ社長も別にいるという意味にも見えますが実際はどうなんでしょうね。

まぁ、「物は言い様」とも言いますからビジネス上で多少誇張すること自体には問題は無いと思います。そして、実態を見る限りはちゃんと「稼いで」いるようにも見えるので、今回の件は完全な経営ミスでしょう。しっかりとサポートしてくれる税理士や人財がいれば良かったのでしょうね。

自己プロデュースがうまそうですから、一旦自分を落としておきつつ、ここから這い上がったストーリーでまた売り出すのかもしれませんね。期待したいと思います。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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