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2021.01.08
[NUNO]本革バックケースを発売しました。
私自身、皮革についてのこだわりがあり、今回の製品は個人的にとても気に入っています。
このケースに使用している革は、「銀付き」の「本革」であり、「ベジタブルタンニンなめし」仕上げを使用しています。皮革に詳しい方ならすぐにわかるかと思いますが、意外と本革とは何か、銀付きって言葉は何? など、知られていないことがありますので、改めてまとめてみたいと思います。
レザーの種類
まず、市場でよく出回っているものとしては、大きく2種類に分類されます。
本革
少なくとも革のベース、床革に革を使用しているもの。
メリット:
- 質感の高さ
デメリット:
- 高価
- 品質が不揃い
- 汚れや傷に弱い
- 重い
- 原料に動物を使用する
- 水や油などに弱い
合成皮革
不織布や帆布、フェルトのベースの上に、PU(ポリウレタン)、PVC(ポリ塩化ビニール)を革の見た目に成形して貼り合わせたもの。
メリット:
- 安価、品質が安定している
- 汚れや傷がつきにくい
- 軽い
- 動物性素材を使用しない
- 水や油に強い
デメリット:
- 表面が剥げ落ちるなどの経年劣化
- 本革と比べたときの質感の悪さ
フェイクレザー、PUレザーは目覚ましい進化を続けており、当社が使っているクラリーノなど、本革と見分けのつかない質感かつ、高耐久性のものが開発されています。
さて、本革の中にも素材で大きく分けて3種類あります。
PUコーティングをした本革
ちょっと難しい言い方になりますが、革の構造は、見た目や触覚を担う表面部分と、強度や弾力性などを担うベース部分(床革)の二層でできています。
この床革部分だけ本革を使用し、その上からPUを革の見た目に成型してコーティングしたものがあります。
手に触れる部分はすべて人工樹脂になってしまいますが、品質が安定しますし、水や油にも強くなるという、革と合成皮革のいいとこ取りをする素材となります。
一般的に、車の本革シートや高級ブランドの本革バッグ、安価な本革手帳ケースなどに使われています。Apple純正のレザーケースなどもほとんどがこの皮革を使用しています。
銀付き革
床革だけでなく、表面部分まで一枚の動物の皮から作られたものを、銀付き革と言います。非常に高い質感があり、革の表情をもっとも生かした皮革になります。
ただし、動物が生育する過程でついた傷や血管の跡、シワなどが至る所に残りますし、油分や水分などのばらつきがあるため染色も安定しません。本革を謳った高級財布やカバン、高級ブーツなどに使用されます。
エコレザー
本革を加工する際に出てくる、皮革の繊維クズなどを集めてラテックスなどと混ぜて圧縮成型(ボンディング)加工を経て作られるものがあり、エコレザーとして流通しています。
本革の質感に近く、繊維クズを使用するためエコ、という組成ですが、繊維を圧縮して接着しているという構造上、引き裂きなどにとても弱く、強度の確保が難しい、という弱点があります。
そしてさらに、ここまでもっとも高価な銀付き革の中にも2種類の加工があります。
銀付き革は、動物の「皮」を塩漬けにし、皮下組織を取り除き「真皮」に加工したあと、「なめし」という工程を経て「革」になります。なめし工程によって繊維が柔軟性を持つようになり、生地として使えるようになりますが、このなめしの工程に違いがあります。
クロムなめし
もっとも一般的な革なめしの方法になります。流通している銀付き革のほとんどがこの加工になります。塩基性硫酸クロムという化学薬品を巨大なドラムで皮と混ぜ合わせます。
ベジタブルタンニンなめしと比べ短時間で大量に作れる上、非常に柔軟性に富み、衣類は着心地がよく、バッグは使いやすい柔らかさになります。また、耐久性にもすぐれ、PUコーティングほどではないですが経年変化(劣化)が少なく、商品として扱いやすいなめし方法です。
ベジタブルタンニンなめし
植物から抽出した「渋」成分に皮を漬け込む工程になります。クロムなめしと比べると非常に長い時間と手間がかかり、大量生産が難しい加工方法になります。
また、革としても柔軟性に欠け、ゴワゴワとした質感になります。水や油にも弱く、染色性も安定しないといった弱点が多々あるものの、本物の革らしさ、というのはこのベジタブルタンニンなめしにあると考えています。
使い込めは使い込むほど使用者に合わせて形がなじみ、変色しながら経年変化をします。適切なお手入れによっていつまでも経年変化を楽しむことができます。
写真は私が2ヶ月間、ガシガシと使い倒したサンプルになり、革から滲み出るオイル成分により、艶が出てきています。まだまだ何年もかけて変化していくと思います。
当社が販売したNUNOは、この「ベジタブルタンニンなめし」で加工された、バダラッシ・カルロ社のプエブロレザーという本革を使用しています。
価格はどうしてもお高くなっていますが、これだけの手間をかけて高い質感を実現した本物のイタリアンレザーを使用し、使うごとに自分だけの経年変化を楽しむことができる、本物中の本物の価値あるレザーケースとしてお勧めしたいです。
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このブログを書いたスタッフ
開発
ようへい
開発、生産工程に関わる。家具メーカーのセールス時代に星川と出会い、意気投合してトリニティに転職。製品開発で中国に何度も通ううちに辛い食べ物に覚醒。隙があれば食べ物にハバネロソースをかけてしまうため、周囲から嫌がられている。
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