- 11月
- 2024年12月
はじめに。世の中には「ただより高いものはない。」という言葉があり「ただで何かをもらうと、代わりに物事を頼まれたりお礼に費用がかかったりして、かえって高くつく。」(大辞泉より)というのは誰でも知っているはずです。
インターネットを通じたサービスでは「フリーミアム(Freemium)」モデルが流行し、今ではかなり標準的なものになっています。詳しいことはGoogle先生がいろいろと教えてくれますので見ていただくとして、そのフリーミアムモデルには大きく分けると2つあるのかなと思っています。
1つ目はフリー、つまり無料で基本的な機能を使い始めてもらいますが、機能や容量などに制限があり、それ以上を求める場合には追加料金を支払う必要があるモデルです。ユーザーにとっては、最初は無料なのでハードルが低く、基本的な機能だけ使うならば無料のままで継続することもできますし、サービスとしての良さも理解してから必要な時にだけお金を支払うことができるメリットがあります。サービス提供側もユーザーのハードルを下げて使い始めてもらうことで、サービスを理解してもらってから追加料金を発生させられるという、広めるためのメリットがあります。店頭での試食は無料で、家で食べたければ購入するというようなイメージです。
もう1つは、そのサービス自体では収益を得ずに、そのサービスをユーザーに使ってもらうことによる別のビジネスモデルで収益を得るものです。Google検索がその最たるものですね。かなり高度な技術で、サーバーリソースも多く使いつつも、検索行為自体は無料で提供し、そこに広告を差し込んだり、ユーザーの行動をデータ化することで収益を得るようにしています。こちらは冒頭の「ただより高いものはない」のモデルでもあります。
さて、本題です。
楽天モバイルが、これまで一定の容量しか使用しないユーザーに対して0円で提供していたプランを改定し、最低でも1,078円(税込)を課金するように変更したことが大きな話題を呼んでいます。ほぼ肯定的な意見はなく、批判ばかりの印象です。
楽天モバイルのこの0円モデルは、どちらかというと前述の1つ目に近いものです。0円という低いハードルにすることで誰でも加入しやすく、一定以上使ったらその分をチャージするという仕組みなので、実際には加入したユーザーは「使う=料金が発生する」だろうという目論見があったと思います。クレジットカードの入会金・年会費を無料にするのとも近いかもしれません。カードを作ったのだから、どこかで使ってくれれば手数料収入が得られるというわけです。
しかし、おそらく誤算だったのは、0円の範囲を1GBまでとしてしまったために、データ量を0.99GBまでに制限して使う人が一定数いたのだと思われます。また、本当に一切データを使わずに回線をキープしておくだけという人や、それにプラスして楽天モバイルを契約していると楽天ポイントが1%追加することができるという特典があるために、そのためだけに0円で契約しているという人もいたようです。
つまり、楽天モバイルにとっては読みが外れたのと、抜け穴をうまく狙われてしまっており、契約数は増えていても一切収益にならず、むしろ管理コストや楽天ポイントだけ提供するというマイナスの状態だったので、改定せざるを得なかったというのが本音だと思います。
フリーミアムモデルというのは、先ほどの2つのパターンのどちらかに属するようになるので、結局のところどこかで楽天モバイルにとってメリットが生じてなければ続けられないので、これはもう仕方ないことだと思います。むしろ、これまで0円運用をしていた人は「美味しい状態」を一定期間続けられたので良かったと思うしかないのです。
ただ、今回大きく批判されているのが「新プランは0円運用ができずに、必ず1,078円(税込)が請求されるように大きく変革されるのに、新プランに自動移行される」ということです。つまり、ちゃんと調べていないで0円のままだと思っていたら、急に請求されるということが発生するということです。
実際には、前述のような抜け穴を見つけて「美味しい状態」だった人は当然情報収集に長けていますし、実害はそんなにないようにも思います。当然、楽天モバイルも事前に案内はしっかりとするでしょうし、そうでないと訴訟になりかねません。
そして、0円だったから契約していたのに、0円ではなくなるのは許せないから他キャリアに移行しますというような方も多いようですが、楽天モバイルからすれば「どうもありがとうございます」としか言いようがありません。そういうユーザーが収益を圧迫していたのですから、去ってくれた方がありがたいのです。むしろ、そのためにプランを改定したわけですから、想定内です。いくら「解約してやる!」と騒いでも何も響きません。
個人的には、0円なのに1GBまでは無料としてしまっていたのが問題だったので、0円の場合には0円なりのデータ通信ができない、楽天ポイントの還元はない、というような改定だったならば、改悪とは言われるかもしれませんが、こんなに問題にはならなかったのかなと思います。当初から、この0円施策を無期限のキャンペーンとしておくという用意周到さも必要だったと思います。PayPayはそうして無料だからと店舗を広げてシェアをとってから、有料に自動的に転換しましたが、特にその施策についての批判は大きくはありませんでした(個人向けのサービスでの話ではなかったからというのもあります)。
通信エリアや品質などは使用したことが分からないので置いておくとすると、新プランも料金体系自体は他のMVNOやMNOのサブブランドと比べてそんなに悪いものではないと思います。当初の打ち出し方と変わってしまったので、改悪感が出てしまったのはマーケティング的には失敗だったのかもしれません。
というわけで、個人的には携帯電話・スマートフォンは仕事のために使っているので、料金よりも品質やデータ無制限というのが重要だと考えています。その意味で現在はNTTドコモの「ギガホプレミア」が一番マッチしているため契約しており(見合うサービスならばもっと高くなっても良いくらい)、楽天モバイルを検討したこともなく対岸の火事でしたので、外から見ていて感じたことを書いてみました。
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それにしても、みなさんフリーのまま、美味しいまま、ずっと続くと思っていたわけではありませんよね。企業も正当な対価を得なければ継続していけないのは当然なので、フリーミアムをあまり理解していなかったのかもしれません。みなさま、大変お疲れさまでした。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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