- 10月
- 2024年11月
[製品開発ストーリー Vol.8] スクリーンプロテクターのあれこれのつづき…
台湾滞在2日目(前日の夜に台湾入り)。午前中は前回のトラブルなどに見舞われあっという間に終了し、午後になってようやくサンプルの金型ができあがるということで金型を作っている工場に移動しました。
工場とは聞いていましたが、まさかこれほどまでに工場っぽいとは…(笑)。ここは金型を作る板金工場なのでプレスやら溶接やらの機械が所狭しと置いてあり、中は油臭いのなんの。そんな中で金型が完成しているので見に行ったのですが、もうすでに完成していてシリコン工場に持って行ったとのこと。
ということで、今度は30分ほど離れた場所にあるシリコン工場に移動しました。 こちらではできあがった金型にシリコンを流し込み、できあがったものに加工をしたり成形をしたりする工場です。到着した段階ではまだ金型のメンテナンスとヒートアップをしているということだったので工場を見学させてもらいました。
実はこの会社、iPod用のシリコンケースをメインで作っているのではなく、シリコン製品の多くは上記のような家庭用の製品だそうです。鍋つかみだったり、ケーキの型だったり、フライ返しとかいろいろな製品を見せてもらいました。そして、ここから今回のシリコンケースの大きな特長が生まれてくるのです。家庭用の製品が多いだけに、粗悪なものは作らないだろうということも感じましたし、できあがっている製品もしっかりとしたものばかりだったのでこれからできあがってくる最終サンプルにも大いに期待が持てました。
いろいろ説明を受けているうちに準備ができたようで、サンプルを作るところを見学させてもらいました。
まずはシリコンを規定の分量に合わせてしっかりと計測して切り分けます。ちなみに聞いてみたらこのシリコンは日本製とのこと。スクリーンプロテクターのPETも日本製だという話だったので、製品はみんな素材は日本製でした。なんだか不思議な感じです。
切り分けたシリコン素材を金型に入れて上からも挟み込んでヒートアップします。ホットサンドのような感じですね。そして待つこと180秒。何度だったか正確な温度は忘れてしまいましたが、結構な高温になっていましたので、現場の人たちは汗だくです。
そしてできあがってきたのが上記のようなもの。ここからエアーを吹き付けて本来切り離されるべき場所を「飛ばす」ような形で分離させてから金型から取り出します。ここらへんの作業は職人芸を見ているようで小気味よい感じです。
シリコンを溶かして成型するのでどうしても組み合わせた部分に不要な部分が出てしまうので、画像はちょっと違うのですが、実際にこのようにおばちゃんたちが端に残った「バリ」をひとつひとつはさみやカッターで切り取ります。
そしてその後にJudyが数個をどこかに持って行ったと思ったら、少ししてから戻ってきて最終形のサンプルを見せてくれました。これはその時に一緒に見に行かなかったのですが、できあがったシリコンの上に特殊なアンチダスト加工を施してきたのだそうです。
シリコンはその素材の性質上、吸着するので埃がつきやすいのです。シリコンケースを使っていてすぐに埃だらけになってしまったというのをよく見ていたので、シリコンは埃がつくのでイヤだというイメージがありました。しかし、ここではその上に特殊な加工を施すことでシリコン素材を使いつつも埃がつかないアンチダスト仕上げができるということでした。たしかに、前述のように家庭用の製品でしかも調理器具に使うようなものが埃だらけになってしまっては困ります。
実は、このアンチダスト加工のことは、このときに初めて知ったのです。今でこそ、「埃のつきにくいアンチダスト加工」といううたい文句を喧伝しているのですが、もともとの計画にはなかったのです。Judyたちからすれば当然のことだったようなのですが、私にとっては驚きに値することでした。そして埃がつかないだけでなく、アンチダスト加工を施すことによって粘着性がなくなりすべすべとした高級感のある手触りが実現していたのです。
ちなみに「一般的なアンチダスト」はシリコン素材になにかそのような素材を混ぜ込むことによって実現させるらしいのですが、シリコンの特長ともいえる伸び縮みがあまりできなくなり、あとからアンチダスト加工を施すのに比べて効果が薄いということでした。後から施すデメリットは工程が増えるためにコストが上がるということでしたが、良いものを作るという観点からJudyのところで後から加工をしているということでした。
ただのシリコンケースと思いきや、随所随所で細かな配慮などが隠されており奥が深いのでした。
そんなこんなでできあがったサンプルですが、そこにいくつかの問題を発見してしまったのです…。もうお約束みたいです(笑)。
追記:このブタさんの鍋つかみはおみやげに1セットもらって帰りました。何を隠そう、私はブタマニアで自宅には貯金箱からティッシュケースなどさまざまなブタグッズで溢れているくらいです。将来的にはミニピッグを飼おうと思っているくらいなのです。現在はこの鍋つかみは自宅で大活躍しています。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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