円安で経済が上向くか

2013.01.03

投稿者 : ほっしぃ

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日経新聞に「NY円、続落 1ドル=87円30~40銭、一時2年5カ月ぶり円安に」という記事が掲載されていました。

先日の政権交代から安倍晋三首相率いる自民党は円安誘導のための発言を繰り返しており、実際に80円台だった為替相場が急激に変動し、とうとう87円台に達しました。これにより、日本の大手製造業の株価が上がり、期待値を含みつつも日経平均株価は1万円を越えたままで推移しています。

このことにより、実際に景気が良くなるのでしょうか。

私たちのビジネスは海外から物品を輸入をして日本で販売しているため、ドルで物品の支払いをし、円で販売代金を受け取っていますので、これまで1ドルで仕入をしていた製品は80円相当で支払っていたのですが、たった今決済をするとなるとこれを87円前後で支払わなければならないということになります。単純計算で7円仕入れ価格が上がる(約9%増)わけですから、同じ製品を販売していたとしても私たちの手元に残るお金が減るということになります(円安になったからといって販売価格を上げられるほど簡単な話ではありません)。

為替の問題は、円高ドル安になっていけばドル決済をしている輸入企業に追い風になり、逆になれば輸出企業に追い風になるという相反する関係です。これまで円高といわれていた時期には私たちのような輸入企業にとっては追い風だったわけです。今回、円安に振れることで私たちにとっては向かい風になってくるわけですが、それでも日本経済が上向いて景気が良くなれば、それが回り回って消費者がより消費するということでメリットを享受できるともいえますので、一概に悪いことであるとは断定できません。

しかしながら、円安になれば単純に経済が上向くかどうかというと、それはそれで疑問符が付きます。日本でモノやサービスを売ってビジネスをしている立場から考えてみると、前述のように消費者が私たちが提供するモノやサービスにお金を費やしてくれないといけません。そのためにはまず、賃金が上がるか、もしくは支出が減ることによる可処分所得が増える必要があります。現状でいうと、復興増税も含めて消費増税やその他さまざまな増税、さらには健康保険料や厚生年金保険料なども上がっていくため支出は増える一方です。そして、肝心の賃金は下がるばかりで「民間平均給与、3万円減の409万円」という記事も記憶に強く残っています。さらに、円安の恩恵を受けるであろう製造業の特に大企業は「賃金体系全体を上げるベースアップ(ベア)は「協議する余地はない」」と言っているそうですので、なかなか賃金が上がることは期待できません。

つまり、円安になっても、株価が上がっても、それだけでは景気が良くなるということではないのです。統計上は上向くかもしれませんが、実体経済としては、これによって生産性が上がるわけでもなく消費が増えるわけでもないためにいわゆる景気が良くなるということにはならないのです。

私は経済学者でも専門家でもないので、では対策は? と問われると困ってしまうのですが、単に現在の円安株高に浮かれ始めている現状を少し憂いているだけです。ものすごくシンプルに考えれば、賃金を上げ(られる環境を整え)可処分所得を増やし、社会保障を充実させてお金を貯めすぎなくても良い世の中にするということなんだろうと思います。

ちなみに、財務省貿易統計によると(総額、年別推移表、2012年で検索を押すと結果が出ます)2012年は輸出が58兆円、輸入が64兆円となっていますので日本にとっては輸入品の方が多いわけですから、円高の方がモノの価格が下がり消費者の生活としては楽になるということになります。それが悪者とされるデフレに繋がるので難しいところですが、モノの価格が下がるのは消費者にとっては何も悪くないことですよね。

特に結論めいたことはないのですが、これからの日本経済を支えるのは金融政策よりも、モノやサービスの競争力を付けていくことなんだろうと思っています。それには独自技術、差別化された製品やサービスがモノを言うのだと思います。これから円安が続き利益確保が厳しくなり、なおかつ消費増税で消費が冷え込むのが見えている中で、私たちが生き残っていくためには「ユニーク」(本当の意味において)になる必要があるのだと思いますので、そのために今できること、まだやっていないことにチャレンジしていく必要があるわけです。

というわけで、年頭の「チャレンジの年」に繋げたところでめでたしめでたし。(取り留めもなく続いてしまいそうだったので焦っていました

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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