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「アイディア共創の質を高めるしくみ」- Quirkyの失敗 –

2017.09.04

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アイデア共創の質を高めるしくみ (NextPublishing) | 青木 慶 | 産業研究 | Kindleストア | Amazon

今回は珍しく本を紹介したいと思います。この本の一部に私も少しだけ情報提供したという縁から献本をいただいたということもありますが、この本はこれからのもの作りやコミュニティから生み出していくしくみを深く考察しています。

そして、当社で日本代理店をしていたQuirky(クアーキー)というブランドの話が出てきます。私自身も大好きだったこのブランドがいかに立ち上がって、創業者であるBenの思いと新しいもの作りの仕組み、最後にいかに失敗していったかというところを詳しく解説しています。実際に、Quirkyが起業した時から、そして破産に追い込まれた時までずっと見てきた私としても、思い出深いともいえますし、本当にもったいないと思っていました。以前にも何回かQuirkyについては取り扱いもしていたので、ブログ記事もいろいろと書いています
本書では、まずクックパッドを取り上げ、なぜ人はレシピをせっせとアップしていくのか、作った人はレポートを送るのか、そこに巨大レシピサイトを作り上げていく共創のしくみが隠れています。また、楽天レシピという楽天ポイントをインセンティブとして用意して、いわばお金の力で投稿をさせていこうというサービスもあり、その2つのサービスの比較も行なわれていて興味深いです。

第5章で「Quirkyの失敗から考える、21世紀のものづくり」に入ってくると、自分事のように感情移入してしまいます。Quirkyを知らない人のために当時作ったカタログをアップしておきます。元々、このBenは今では世界中のApple Storeで展開されているmophieというブランドを立ち上げ、その後にコミュニティによるもの作りに目覚め、自分ひとりのアイディアから生み出されるものよりも無限の可能性があると信じて、会社を売却し、新たに創業したのです。私も当時、mophieを一緒に日本で立ち上げ売上も伸びてきたところだったのに、信じるもののために売ってしまうという決断は凄いなと思ったし、そこに付いていこうと思ってQuirkyを広めるためにいろいろと手伝いました。

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ぱっと見、これでもの作り、共創の仕組みが分かると思います。大切なのは、アイディアを出した人、一緒に考えた人、名前を付けた人、などなどコミュニティとして関わった人たちにしっかりと報酬を返すということです。結果論としては、これが失敗してしまうのですが、それでもこの考え方自体は間違っていなかったと思います。

日本においては製品のみしか販売しなかったため(構想はありましたし、私自身は強く要望していました)、このQuirkyの仕組みがあまり伝わらずブランドとしてはあまり根付きませんでした。これは本当に残念で仕方ありません。

本書では、「性急な商品開発」「戦略なき商品展開」「専門家の開発時間を短縮」「市場性の検討をスキップ」などさまざまな角度からなぜ失敗したのかが語られます。色々な理由はあると思いますが、結局のところは投資家から莫大な資金を預かり、成果を出していかなければいけない、それには製品をどんどんアウトプットしなければいけないという追い立てられたところから、元々のコンセプトを外していってしまったのだと思います。

元々は製品をスタートさせるためのスレッショルドというのがあり、ある一定数量の販売が約束されないと生産に入りませんでした。これは今でいうクラウドファンディングと近い仕組みです。しかし、本書でも紹介されているとおりある時から、アウトプットを出すことを目的にしてしまったのでこの仕組みを廃止しました。それまでは、共創しているコミュニティが自ら購入することで一定数を確保していたのがなくなってしまい、コミュニティの人数をも下回る販売数になってしまった製品が多く出てきたのです。

競争力のある製品を作るにはある一定の数量を作らなければいけないため、コミットされていないけれども作るようになり、在庫が山のように積み上がってきてしまいました。ここからは悪いスパイラルです。売れるモノを作らなければいけない、どんどん作って行かなければいけない、と本書で指摘されているようなことが起こったのです。

本書では、このQuirkyの失敗は21世紀のもの作りに大きな示唆を与えたと書いています。私自身も自分がユーザーで、一緒にユーザーの人たちと改良していきたいという思いは、このQuirkyを一緒にやっていたところから来ています。

その後、本書ではもう少し小規模の共創による成功事例などを紹介して、最後にOLIVEプロジェクトへと辿り着きます。これは私も知っているプロジェクトだったし、登場人物も知っているので親しみやすかったです。そこにはビジネスの視点よりも社会的意義や何かしたいという思いの方が強く、そこで繋がっている人たちの物語です。

あまり、本書の書評になっていなくて申し訳ないのですが、共創というのはインターネットがいつでもそこにある時代、ソーシャルネットワークの時代には欠かせないキーワードですので、ぜひとも一度お読みください。

私はQuirkyへの思いが強すぎて、そこの話ばかり書いてしまいましたが、全体的にちょっと論文ぽい書き方ではあるものの、始まりから終わりまで通して読むと、共創の質、について深く理解できるようになると思います。

最後に、ネットで探したけれども公開していなかったのかもしれない、私が徹夜で字幕を付けたQuirkyのマニフェストというコンセプトムービーを公開したので見てみてください。少し長いですが、Benの思いが伝わってきます(ナレーションがそのBenです)。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「 Simplism 」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は24時間365日のウェアラブルデバイス「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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