NuAns NEOの発売以降、2つのアップデートがありました。1つ目はNuAns NEOがユーザーのみなさんのところに届くまでにリリースされているWindows 10 Mobileおよびプリインストールアプリのアップデートです。こちらは「[NuAns NEO]まず、何はともあれアップデートを。」という記事を書いています。これはNuAns NEOをご購入いただくタイミングによってはさらに累積のアップデートが増えることになります。また、当然ですが、すべてをアップデートした後にも随時、システムのアップデートもアプリのアップデートも配信されていきます。

もうひとつは当社から提供するファームウェアアップデートです。こちらは「[NuAns NEO] V37アップデート配信開始」という記事でご案内しています。これは我々のような端末メーカーから配信されるアップデートで、Windows 10 Mobileやその上で動作するアプリではなく、主にWindows 10 Mobileのデバイスに対してのファームウェアを更新していくものになります。

この点は少し分かりにくいところもありますので、少し説明をしておこうと思います。これによって、Windows 10 MobileというMicrosoft社のOSに関することと、我々の提供するハードウェアの部分との区別ができると、我々にできることとできないこともご理解いただけるかと思います。
まず、基本的な理解としてNuAns NEOのハードウェアを開発しているのは当社（厳密には当社と契約している会社）でMicrosoft社のプラットフォームとして用意されているものから取捨選択して作り上げています。Microsoft社はその上で動作する基本システム（OS）としてのWindows 10 Mobileを提供しています。これは、Androidを提供するGoogleとハードウェアを開発するメーカー（たとえばSonyなど）というような関係と非常に似ています。AppleがiPhoneというハードウェアと、iOSというその上で動作する基本システムを提供するのとは異なります。

Windows 10 Mobile/Androidの方式は多くのハードウェアメーカーが参入するために競争が発生し、価格的にも手頃になったり、工夫が凝らされたハードウェアだったりコンセプトだったりが生まれやすくなっています。反対に、Appleのシステムはハードウェアとソフトウェア（OS）が1社で提供されるために両者の連携や最適化がしやすく、動作検証も自社製品のみになるために完成度が高くなります。どちらが良いということではありませんが、大きく違うシステムだということです。私も使用していますし、日本においては圧倒的なシェアなのでiPhoneとNuAns NEOを比較することもあると思いますが、この仕組みの違いが大きく影響しています。

Windows 10 MobileはWindows 10というMicrosoft社のOSのひとつであり、One Windowsという概念の元にプラットフォームを共通化していこうという施策が採られています。ただ、どうしてもモバイルデバイスでは性能や機能、入出力や拡張性などについてことなるために、ある程度の制限が与えられています。これにより、Windows 10が動作するコンピューターやタブレットとWindows 10 Mobileデバイスではできることが異なります。また、アプリについても前述のWindows 10プラットフォームで共通のユニバーサルアプリという仕様であれば基本的に動作しますが、それでも現状ではまだ少ないというのが正直なところです。ただ、これはこれからどんどん増えてくるものと思います。

さて、Windows 10 Mobileは昨年の11月に出荷版として「10.0.10586.00」というバージョンが我々のような端末メーカーにリリースされ、当初はこのバージョン（ビルドとも呼ばれます）で出荷をしています。ただ、これはまだまだ産まれたばかりの赤ちゃんのような存在で、これからバグなども修正していったり機能も追加されていくべき状態です。現在は「10.0.10586.29」という末尾が「29」になっているものが最新です。開発者の間では「71」というバージョンがテストされています。これはベータ版のようなもので安定性などのテストが行なわれた上で、最終的にはリリースされます。最終版はもう少し数字が上がる可能性があります。

単純にソフトウェアだけの動きがおかしいというのは基本的にはWindows 10 Mobileに起因することが多いので、こちらは今後のMicrosoft社のアップデートに期待することになります。ちなみに、そのためにはより多くのフィードバックを行なう必要があります。ホーム画面（タイルが並んでいる画面）から左にフリックすると「すべてのアプリ」一覧が出てきます。その中に「Windowsフィードバック」というアプリがありますので、そこからフィードバックを行なってください。

そして、私たちの方でリリースするのはハードウェアに関係しているファームウェアとなります。ファームウェアとは、簡単にいうとハードウェアをコントロールするためのソフトウェアです。たとえば、カメラはカメラのパーツをハードウェアとして組み立てるだけでは動作せず、そのカメラからの情報をどのようにWindows 10 Mobileに受け渡すか、逆にWindows 10 Mobileからのコマンド（たとえば画角の変更など）をカメラに伝えるかは、ファームウェアがコントロールしています。また、今回のV37でもリリースしましたが、SoC（エンジン部分となる統合プロセッサー）であるSnapdragon 617のファームウェアも含まれます。

難しいところはハードウェアについての問題でも、Windows 10 Mobileの制限だったりすることもあるので、ややこしいことこの上ありませんが、ここらへんはMicrosoft社、場合によってはSoCを提供してくれているQualcomm社とも密接に協力して対応をしていく形になります。

かなり大きな範囲でファームウェアが司っているところが大きく、この改良を加えることでNuAns NEO自身の不具合の解消や機能の改善、その他新機能の追加も可能になっています。もちろん、ハードウェアスペック以上のことを求めることはできませんが、まだまだ掘り起こせそうなこともあったりします。この点については当社側でのコントロールになるため、ほとんどの不具合についてファームウェアでの改善が期待できると考えていますので、なにか問題があったとしても保証書に記載のサポートにご連絡いただければ、それをデータベース化して優先順位を付けて取り組んでいきたいと思っています。

ハードウェアといっても、前述のようにほとんどがファームウェアに依存しているところが大きいので、Windows 10 Mobileのアップデート、そして当社からのファームウェアアップデートで、同じ端末でも末永く使っていただけるように改善していきます（当然ですが、すべてのご要望にお応えできるという約束ではありません）。したがいまして、Windows 10 MobileにもNuAns NEOにも現状100%ご満足いただいていない場合もあるかもしれませんが、これからも末永くお付き合いをよろしくお願いいたします。

なお、ユーザーの皆様からのご要望や不具合などを共有できる場を提供できるように進めているプロジェクトがありますので、そちらはタイミングになりましたらお知らせします。