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2013.03.23
前回「[All About 次元(Jigen)]中国におけるモノ作りの限界」ということで、これまで中国でモノ作りをしてきたところで、ある一定以上のところに到達するには非常に高い壁があるという話をしました。そして、ケイズデザインラボのD3テクスチャー技術を活かしたiPhone用ケースを作るためには、どうしても高精細な金型技術が必要でした。そこで、日本の最先端かつ細かい技術を活かすには、これまた日本の金型技術しかないということで、D3テクスチャーを実現するための金型技術を持った樫山金型工業を紹介したもらったのです。
樫山金型工業は長野県は佐久市に位置し、キレイな空気と広い大地に囲まれた環境の中で、最新の金型技術を駆使して日本のモノ作りを支えている会社です。金型とはいわば裏方の技術ですから、あまり外にその姿を知られることはなかったり、どこで作っているのかは明かされないことが多いのですが、私たちは世界に誇れる日本の技術をアピールしたいので、あえてどこで誰とどのように作っているのか、というプロセスを公開しています。
樫山金型工業の方々は本当に職人気質の方が多く、iPhoneケースを作ったことはなかったのですが、それでも私たちの要望に対して迅速に対応してくれ、金型技術の面から見た適切なアドバイスもいただきました。お互いに、より良い製品、誰もがあっと言うようなテクスチャー、そして業界にも驚きを与えようと、非常に細かいところまでこだわって作り上げました。
みなさんが普段使っているプラスチック製のケースはこのような金型からできあがってきます。おおざっぱに言えば、鯛焼きを想像してもらうと良いと思います。しかし、これほどまでに美しい金型というのを見たことがあるでしょうか。ほとんど芸術品といっても良いくらいの仕上がりです。
これは、金型を作れる会社ならどこでもできるというわけではなく、D3テクスチャーというデジタル領域のデータを微細なところまでしっかりと表現できる究極のアナログ技術である切削技術がなければいけません。
また、次元シリーズでは金型業界の人が見たら驚く技術をいくつか秘めています。なので、私たちもたまに他の金型製作会社の方と会うときに見せるとビックリするのです。エンドユーザーである私たちやお客様には特に関係ないことなのかもしれませんが、そう簡単にできる技術ではないわけで、中国の工場がコピーしようとしても簡単にはできないわけです。世の中にはたくさんのコピー品が存在していますが、実際のところコピーの仕方が分からなかったり、あまりにも難しい技術だった場合にはコピーすることにコストがかかりすぎるので無意味になるわけです。
この写真だけ私がiPhoneで撮影したので 非常にクォリティが悪いので恐縮ですが、この金型から革の風合いを残したテクスチャーの次元シリーズが生まれてくるのです。実際に発売して以降も、パッケージの外からはまったく分からず、パッケージに空いた穴から指を入れてなぞってみてもまだ本物の革と間違えてしまう方が多く、なおかつパッケージに「革」と書かれているので本当に間違えて購入してしまうのではないかという懸念が店頭から出されたほどです。
ちなみに、金型を作るための切削技術といっても今ではすべてコンピューター制御になっているので、職人技などあまりないのでは無いかと思われるかもしれません。大半はその通りではあるのですが、最後の仕上げの部分や実際に樹脂を流し込んでの最終調整は長年のノウハウが詰まっている職人の手によってしかできないのです。写真を見ていただくと、最終的には顕微鏡をのぞき込みながら、竹串(!)のようなもので微妙な磨き上げの部分を調整していくのです。このことによって、ランダムに光る部分とくすむ部分を作ることができ、より自然な風合いを出すことができるのです。
また、この次元シリーズは日本の生産の現場ではあまり行なわれない、「手取り」という方式を使っています。これは、金型から人が手で取りだしているということなのですが、通常は機械で後ろからピンで押して金型から外します。しかし、そうなると裏面とはいえ、そのピンの跡が残ってしまいます。もちろん、装着してしまえば見えないので効率化やコスト削減(人の手を掛けるというのが一番お金がかかることなのです)のためには機械で抜いた方が良いのですが、かのスティーブ・ジョブズ氏も見えないコンピューターの背面や基板にまでこだわったように、私たちもこの次元シリーズについては妥協をしないように作り上げたいという思いで、わがままを言わせてもらいました。
そんなこだわりや思いが詰まって、金型ができあがっているのです。裏面はつるつるとしてキレイで、「D3 TEXTURE x Simplism」のダブルブランドの印がしっかりと刻み込まれています。次元シリーズを使っていただいている方は、一度外して裏面も見ていただくと嬉しいです。
…つづく
★
「純日本製」3Dテクスチャーカバー 次元 [Jigen]
[All About 次元(Jigen)]はじまりは突然に
[All About 次元(Jigen)]驚異の技術D3テクスチャー。
[All About 次元(Jigen)]中国におけるモノ作りの限界
[All About 次元(Jigen)]世界に誇る日本の金型技術
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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コメント
2016.12.26 02:17 #1132 技術府
#1132への返信
2016.12.26 02:17 #1132 技術府
金型は確かにコピーする技術だがデジタル技術と違うのが、コピーすると摩耗してしまうことだ。それで世界的に優位を保っている。しかし近年、日立金属の久保田博士らのトライボロジー研究チームが解明してしまった。その詳細はここで語らないが、この複製に悩まされている日本は3Dプリンター以上の極上の情報を握っている。
海外に勝つにはこの期をのがすべきではない。
2016.12.26 14:37 #1133 ほっしぃ
#1133への返信
2016.12.26 14:37 #1133 ほっしぃ
技術府さん、書き込みありがとうございます。
すみません、ちょっとよく理解ができませんでしたが(軽くGoogle検索はしてみましたがご指摘に近い話は出てきませんでした)、日本の製造業としてはチャンスということですね。私たちは直接的に製造を行なっているわけではないので、なにか新しい技術で新しいことができるのであればぜひご一緒したいですね。
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