- 11月
- 2024年12月
前回は、当社の保有するSimplismロゴ模倣品のエントリーをしました。
今回は、当社のような零細企業と知的財産権(知財)との関わりについてエントリーしたいと思います。
■商標権の取得は難しい
私たちは商標権に限らず、特許、意匠と、非常に小さな零細企業にしては非常に大きなコストと時間をかけて取得しています。国内だけではなく、海外の取得にも多大な労力がかかっています。
なぜ、海外でそれほど苦労するのかというと、商標権は各国ごとに取得する必要があるからです。知的財産権に対する費用対効果、を考え始めると費用の捻出が零細企業では難しい判断となります。
たとえば、アメリカやEU、中国で取得を進めるのは問題ありませんが、私たちのような小さな会社で、インドネシアや台湾のような国まで取得が必要かというと、悩ましいところです。
前回のような模造品対策だけであるなら、必要はありません。もちろん私たちもその考えで、少しづつ取得を進めていました。ところが、実際には「商標ゴロ」という存在が立ちはだかっていたのです。
■中小企業の敵、「商標ゴロ」
「Simplism」のように一般社会ではメジャーでない商標でも、海外の展示会などに出展すれば、どこかの国で悪意のある第三者に先行して取得されてしまうケースがあります。
この第三者は何を狙って取得しているのか、というと、コピー品を作って売るつもりはありません。製品作りはコストもかかりますので、リスクが大きいのです。
彼らが狙っているのは、取得した国にブランドが進出してきた時には黙っておいて、売り上げがある程度上がり、商標が浸透してきたところでいきなり使用料の請求をかけてくる、というパターンが多いようです。
僕は「商標ゴロ」と呼んでいますが、このパターンはとくにアジア圏で顕著にみられ、海外進出を進めている中小企業には本当に大きな痛手になっていると思われます。
また、中小企業だけでなく、上場企業であっても、自社の商標なのに海外では商標ゴロに負けてしまい、使用料を払って販売しているケースをいくつか聞いています。
では最初から全部の国で権利を取れば良いじゃないか、となりますが、そのようなことができるのは、グローバルな大企業だけになってしまうと思われます。人口も少ない、小さな国でもそれぞれで商標権が存在し、一つ一つ現地の特許庁が判断をしているからです。
■商標の強さと難易度の関係
商標の取得の難易度というのもあります。商標には「分類」といわれるカテゴリー分けがあります。
機械、電子、ソフトウェア系などは、ほとんどが第九類に分類されており、このカテゴリーの製品数は近年爆発的に増えているため明らかに激戦区となっています。私たちのSimplism製品のほとんどが電気通信機械器具のカテゴリになり、第九類となるため、激戦を余儀なくされています。
また、商標自体の言葉は、シンプルであればあるほど覚えられやすく、商標的に「強い」商標となります。
Simplismという商標は見ての通りシンプル、覚えやすい商標だと思います。シンプルが故に、類似の商標がすでに大量にあり、取得が困難になります。
類似しているかどうか、という判断は特許庁の判断のあと、公示という状態で一般公開され、第三者が見てこの商標は自分の商標に似ている、と思ったら、実際には似ていなくても異議申し立てを行うことができます。
一度異議申し立てが行われてしまうと、きちんと当事者同士で話し合いをつけて、場合によっては改めて修正申告をしなければならなかったり、異議のあるカテゴリーでは使用しないという宣誓書を書かされたり、またまた多大な時間とコストが発生します。
「Simplism」というシンプルな商標は、「次元」「EVENNO」などの商標と比べて、拒絶査定や異議申し立てを多く受けてきました。長期にわたり弁理士の方と協力して、最終的に必要な国の商標はほとんど取得することができています。
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このブログを書いたスタッフ
開発
ようへい
開発、生産工程に関わる。家具メーカーのセールス時代に星川と出会い、意気投合してトリニティに転職。製品開発で中国に何度も通ううちに辛い食べ物に覚醒。隙があれば食べ物にハバネロソースをかけてしまうため、周囲から嫌がられている。
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