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2011.08.29
正直に告白しましょう。私はずっとスタイラスペンという製品が一定の支持を得てある程度の販売数を獲得しているのは知っていましたが、ユーザーとして考えた場合に、まったくもって必要がないのではないかと考えていました。昔のPDAならある程度必要性はあると思いますが、現在のタブレットでは必要ないのではないかと思っていました。なによりも、スタイラスペンを使うとなると、iPhoneやiPadのマルチタッチジェスチャーができなくなるので、せっかくの良さを殺してしまうモノだと思っていました。
…「7notes」に出会うまでは。
「7notes」は言わずとしれた一太郎やATOKなどを開発しているジャストシステムの創業者が開発したまったく新しいiPadアプリでした(現在はiPhone版も出ています)。これは、手書きを認識するだけでなく、それを日本語変換することができるという画期的なシステムで、正直に言うとiPadのキーボードが使いにくいと感じていた私にとってはまさに福音といえました。
そして、この「7notes」を使うためにはスタイラスペンがどうしても必要だと感じたのです。人差し指でも中指でも、ずっと文字を書き続けるというのはある程度浮かせていなければならないので腕の運動としても厳しいですし、かなり滑りが良いフィルムを使っていたとしても途中で疲れてしまいます。
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前置きが長くなりましたが、それでは市場にある製品ではダメなのかと考えたときに、いろいろと気に入らないところがありました。いくつか買ってみたのですが、まずなによりもデザインが良いモノがほとんどないのです。本気で使うとなれば毎日持ち歩くわけですし、そこでいかにも安く作りました的な製品を使うのは私のライフスタイルには合いません。ほんの一握り、デザインが良いモノはありましたが、デザインに走りすぎて使い勝手としてはあまり良くなく、毎日使うわけにいきませんでした。
また、最近は反応が悪いモノは減ってはきましたが、それでも一部にはグッと押さないと反応しなかったり、ある角度でないと操作できなかったり、と意外とまだ本当に良いものは市場にはないのだと感じました。
それでは、私たちがSimplismブランドとして出すべきスタイラスペンはどんなものなのか。
まずはしっかりと反応することは大大前提として、さらに軽くて長時間の使用に耐えられて、なおかつデザインの良いモノということになります。そう考えていったときに、一般的なペンでは書きやすく疲れにくいように握る部分にグリップを備えているものが多くありますが、これがスタイラスペンにはないということに思い至りました。
一般的なスタイラスペンでは導電性の素材ということで金属のものが多く、円柱型で固いモノばかりですが、ここを握っても痛くならないようなグリップ型にしたいと考えたのです。しかしながら、普通のスタイラスペンが金属で作っているように、金属以外の場合には導電しないという問題がありそう簡単に作ることができないというのが最初の工場の回答でした。
ただ、いつも工場と話すときに言うことは、「不可能ならば、具体的にその根拠を示して欲しい、困難ならば、作ろう」ということです。難しいというのは可能性がゼロではありませんから、難しくてもできるならやりたいわけです。それがユニークな製品作りに繋がっていくのです。
というわけで、途中に紆余曲折ありつつも最終的に完成したのがGrip Touch Penです。名前はストレートすぎるのですが、逆にわかりやすくて良いかなと思っています。特長はなんといってもグリップですが、美しい流線型のシェイプに、出っ張りのないペンクリップホルダーのデザインはSimplismブランドアートディレクターのK大郎氏デザインです。
ペンクリップ部分が細くなっていることによって、グリップ部分のラバー素材の重みでペン先側に重心が寄るため、持ったときのバランスが非常に良く、書き心地の向上に貢献しています。
また、ペン先にもかなり苦心をしています。ペン先というのが非常に感度および書き心地を左右します。この素材、素材の硬度、半球の大きさ、径の幅などが絡み合って、最終的に使いやすさを形成しています。
たとえば、ペン先はできる限り細く作っていますが、市場にある極細の製品と比べると少し大きめです。一般的には細い方がタッチスクリーンの場所を細かく指定できるので良いのですが、実はタッチスクリーンは指で操作することを前提に誤動作を防ぐために一定以上の面積が接地しないと反応しないように設計されています。したがって、細すぎると辺を画面に対して直角に立てて使用すれば良いのですが、斜めにした場合などにうまく反応しないことが多いのです。
また画面操作やスクロールなどで軽く滑らそうとしたときにも接地面が足りずに反応できないことがあるのですが、一部の製品ではこれを解消するために先端素材をものすごく柔らかくして軽く押しても接地面積が拡がるようにしているのですが、書き心地としてはペコペコとしてしまってあまり良くないのです。
ここらへんの諸問題を解決しつつ、書き心地の良さを保ったギリギリの範囲での最少サイズなのです。
ひとつだけ注意としては、遊び心としてペンをかるぅく使ってみようとしたときに、グリップ部分を使わずにペンの末端だけを掴んで使おうとすると、その部分はプラスチックなので導電せずに反応しません。その意味で、本気で使う人向けということになりますので、ご注意ください。
さて、実際に開発してみると前述のように非常にたくさんの要素があり、市場にある製品よりもより良く、なおかつユニークで、デザインも優れているモノができあがってきたと思っています。正直なところ、iPad 2の発売に合わせてリリースしようという計画で進めていたのが、上記のような微調整、および数人の方にベータテスト的に使っていただいてフィードバックをいただいたりというような期間を設けたため、大幅に遅れてしまいました。しかし、それだけ時間をかけたからこその仕上がりになっていると思います。製品のマスプロダクションでも、ペンひとつひとつを当社の中国スタッフがチェックをしてクォリティコントロールを行なっています。
最終的には、価格的にも1,480円(税込)とリーズナブルな設定にすることができましたので、幅広い層のみなさまに使っていただけるのではないかと思っています。是非とも一度、お手にとって試していただければと思います。iPad用というような形で販売しているので、量販店などの店頭ではiPadアクセサリーコーナーに展開されていますが、もちろん、iPhoneやAndroid端末でも使用することができます。
最後は、iPad 2用としてSimplism Leather Flip Note Case for iPad 2にはペンホルダーが装備されているという証拠の写真です。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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