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2019.07.19
先日、下記のページにて、SBクラウド株式会社がサービスしているAlibaba Cloudの導入事例として、大企業に挟まれて大変恐縮ですが当社が掲載されました。
今回利用したサービスは、Alibaba CloudのCloud Enterprise Network (CEN)という通信サービスになります。
事例だけ読むと、いろいろと公式で使いにくいワードなどがあるため、どんなサービスで何を解決したのかイマイチわかりにくいのですが、シンプルに言えば、「政府の金盾によるインターネットアクセス制限を迂回」するために利用しています。
中国で事業展開や出張されている方であれば分かっていることと思いますが、金盾とは、中国政府が管理しているWebサービスへの接続を制限する国家規模のファイアウォールです。インターネット人口が6億人もいるといわれている、かの国で制限をかけるということで、とてつもなく巨大な機関と言えます。
具体的にどのWebサービスへの接続を制限しているのかというと、代表的なところではGoogle、Facebook、Twitter、YouTube、LINEなどになります。こういったサービスを制限することで、代わりに中国ローカルのWebプラットフォーマーが巨大な企業に次々に育っているのは事実で、WTOでももっと大きく取り上げるべき保護貿易問題とも言えるかと思いますが、表向きは中国政府が規制しているわけでなく個人情報保護などのさまざまな問題が複雑に絡んで長くなりますので、それはまた別のお話で。
ここで私たちのような中小零細企業で特に問題になるのは、多くの企業で取り入れているであろう、Googleサービスです。Gmailはもちろん、Google Appsのスプレッドシートなど、業務の基幹に置かれているサービスがたくさんあると思います。これがすべて中国にいる間は使えないとなると、もはや仕事ができない、というレベルで運用されているのが実態かと思います。
ただただ業務のためのメールや表計算が必要なのに制限されてしまうのは悲しいことで、なんとか回避できないものか、中国でお仕事をされている方にいろいろ対処方法を聞いていますが、「そもそも中国出張中はメールも見ない」という人以外は、「野良VPNサービスをこっそり利用しています」という方が多いです。
この野良VPNとは何かと申しますと、「中国 VPN」で検索すればたくさん出てくる、月額いくらで中国からのネット接続を改善するという業者によるサービスになります。これらは個人で使う分には大変便利なサービスです。ところが、企業で使う場合には以下の大きな問題をはらんでいます。
- 業者の用意したプロキシサーバーを通過する、セキュリティ上の問題
- 接続が安定しない。時間帯、エリアなどでも揺らいでしまう
- 中国国内から国外向けのネット帯域がそもそも細く、遅い
金盾はいつどのようにどのような通信を遮断してくるのかが予想もつかず、野良VPN業者としてはどうしても「絶対切断されることはありません」と公式に謳うことはできず、これが日本の大手プロパイダーなどが参入していない事情ではないかと思います。
そこでさまざまな問題を解決するのが、今回のAlibaba CloudのCEN接続サービスということになります。
このAlibaba Cloudは名前の通り、元々はエンタープライズ向けのクラウドサービスになります。中国最大のWebショッピングサイトのAlibabaは、タオバオが行なう年一度の大セール「独身の日」において、1日の売り上げで楽天の年間売り上げを越す猛烈なアクセスを捌ききったということで、もしかすると世界一堅牢性が高いクラウドサービスかもしれません。このAlibabaグループは中国企業であり、この企業が世界的に展開しているクラウドサービスということになります。
今回、私たちはここのクラウドサービス部分ではなく、クラウドサービスを使うための中国と日本の間にある接続サービスだけを利用した、ということになります。ある意味で中国公認の、最高に帯域が太いVPN回線を利用できる上、データ通信も完全に企業内で完結できるため、最高のセキュリティも確保されます。
これほどのサービスを、当社の利用帯域で5万円/月程度で利用できるのであれば、コストパフォーマンスは高いと言えます。もちろん、ネット接続だけですからもっと安い方がいいのですが、あんまり個人レベルでの利用に広げられても困りますし、本当に必要な零細企業なら払える程度、ということでいい線じゃないかなと思っています。
このCEN接続だけを利用するやり方は、Alibaba Cloudにとっては本流の使い方ではないのであまり大きく謳わないと思いますが、日本に拠点があって中国ともビジネスを行なう私たちのような中小零細企業を救う大変良いサービスだと思っており、大変オススメです。
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このブログを書いたスタッフ
開発
ようへい
開発、生産工程に関わる。家具メーカーのセールス時代に星川と出会い、意気投合してトリニティに転職。製品開発で中国に何度も通ううちに辛い食べ物に覚醒。隙があれば食べ物にハバネロソースをかけてしまうため、周囲から嫌がられている。
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