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2021.01.03
あんまり自分たち以外の製品やサービスに対する批判を書かないようにしているのですが、それでもAppleやSoftBank、LINEなどはもう社会の公器として存在しているので、改善してもらうためにも少しでも声を上げておく必要はあると考えています。
私自身としてはLINEをほぼ使っていないということもあって、LINEの仕組みが悪かろうとなんだろうと、単に使わないので問題ないともいえます。しかし、周りの声を聞いたり、今回親のアカウント移行をやってあげて、改めて老若男女に使われているインフラとしてはヒドイ仕組みだなと思いましたので、メモ書き程度に落とし穴と回避方法を書いておきたいと思います。
ちなみにタイトルの「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラ」とはLINEの企業理念に書かれている言葉です。これで本当に人々の「すべて」を支えられるのでしょうか。
過去は分かりませんが、現在はLINEはアカウントを登録するのに必ず電話番号が必要とされています。逆に、電話番号とアプリさえあれば簡単に始められて、アカウントを作る必要がないというのがLINEが老若男女に普及した大きな理由のひとつだと考えています。
世の中の多くのサービスではアカウントとパスワードを設定させられて、さらにメールで認証するなど、かなり面倒であることは間違いありません。LINEではそれが電話番号だけで、かつ認証もSMSを通じて行なわれます。一般的にSMSは特にアプリなどインストールせずにデフォルトで受信して、しかも通知も必ず来るような仕組みですから、その認証コードを入れるくらいはそこまで難しくありません。
さて、スマートフォンを使っていれば、いつかは古くなり使いづらくなったり、バッテリーが劣化して使用できなくなくなったり、もしかすると落として壊してしまったりと、端末機種を変更することは、誰しも必ず経験することです。その際に、「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラ」としてのLINEはどのようにそれをさせてくれるでしょうか。
結論から書きます。LINEの現在の仕組みとして「異なるOS間ではトーク履歴は移行できない」ということになります。トークというのは繋がっている人とやり取りをしているチャットのことです。AndroidからiPhone、もしくはその逆で機種変更するときには、「過去にやり取りしたすべてのトーク履歴が消滅」します(グループも消える場合があるようです)。
子供から大人まで幅広く普及し、ITリテラシーのある人、ない人も含めてかなりの普及率を誇るLINEが、このような仕様で良いのでしょうか。繰り返しますが、だからこそ私はメインのコミュニケーションツールとしては使いません。
トーク履歴とは他愛のない会話だけでなく、親子で子供の写真を送りあったり、大切な人と大切なやり取りも含まれています。最近では、LINEだけで繋がっている人たちもたくさんいるようですから、まさに「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラ」なわけです。その大切な資産を軽々と消してしまうような仕組みは恐ろしいと思います。
LINEで大事なのは「友だちリスト」「グループ」「トーク履歴」の3つだと思います。これがコミュニケーションの基本だからです。しかし、LINEはそのどれもが機種変更時に喪失の危機に晒されます。
他のプラットフォームでは、すべてクラウドにデータがあり、機種変更をしても正しくアカウントが引き継げればすべて元に戻ります。これがクラウドを利用したプラットフォームの良いところだと思います。私もiPhoneやAndroid、MacやiPadなどを複数所有していますが、それらはすべてデータはクラウドにあり、すべて同期して使用することができます(一部コンテンツ系はダウンロードし直しをする必要があります)。
LINEはそもそも1アカウントにつき1端末であるということが難しくしています。ただし、これは電話番号に紐付いているので、電話番号を使える端末はひとつであるという考え方からきているため、仕方のないことかもしれません。セキュリティ的にも、ITリテラシーが低い人向けには良いのかもしれません。
ただ、普通に設計するならば電話番号がユニークなIDとなるのですから、それに紐付いてLINEのクラウドからデータを参照しダウンロードできるようにすればユーザーにとっては一番シンプルに使うことができます。どんな端末になっても電話番号で認証すれば元に戻るのですから。
しかし、LINEではAndroidとiPhoneで異なるアカウント連携をさせ、なぜかバックアップからの復元を別々の仕組みでやっているために、異なるOS間での移行をすることができません。友達リストなどの移行ができるならばトーク履歴やグループは元に戻せるような気もします。
無料なのだから、そこまでの機能を用意してなくても仕方ないという向きもあるかもしれません。それであれば、「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラ」(しつこい)をうたうべきではないですし、さらにいえば、有料でも良いのでクラウド補完サービスとしてビジネスにしてしまっても良いのだと思います。
無料だからこそ、クラウドにデータを保存していないのではないかと思われるかもしれません。だからこそ、AndroidではGoogleドライブに、iPhoneではiCloundドライブにバックアップをする設定となっていると。しかし、実際にはLINEのクラウドにはすべてのデータが保存されています(後述)。
同じOS間であってもトーク履歴は引き継げない事故が多発
OSを移行するのはそんなに頻繁に行なわれないのかもしれません。iPhoneの人は割とずっとiPhoneを使い続けるからです。しかし、致命的なのは「同じOS間であってもトーク履歴は引き継げない事故が多発している」ということです。
実際に、私自身もiPhone XSからiPhone 11に移行したときには問題なかったのですが、iPhone 11からiPhone 12に移行したときにはすべて消えました。何度も書いている通り、私はほとんど使っていないのでデータが消えようがそんなに打撃にはなりませんが、一部家族などとはそこでしか繋がっていないので、そこでのやり取りはすべてなくなりました。
私の周りにもこのような体験をした人が多くいます。同じOS間であっても必ずしもトーク履歴が引き継げないのです。私も、ちゃんとマニュアルを読み実行していますし、現にiPhone XS > 11の時には成功しています。決して手順を間違えたわけではありません。
その時のスクリーンショットは撮っていないのでテキストになってしまいますが、
- LINEは最新バージョンである。
- iCloudでバックアップしてある。移行直前にバックアップし、バックアップ日時がそのときの時間であることを確認済。
- iPhone 11側でアカウント移行を実施
- iPhone 12側でアカウントセットアップ
- 「トーク履歴を復元」のところで最新バックアップの日時が遙か昔(2020年2月頃)になっていた。
- 遙か昔のバックアップを復元するか、トーク履歴を復元しないかの2択しかない。
- この時点ではiPhone 11側はすでに使用できなくなっているので元に戻せない。
- 結果、遙か昔のをかろうじて復元して、その後のものはすべて無に還った。
私の場合には何らかの理由でクラウドにバックアップできていなかったのか(日付は確かめたので間違いはありません)、もしくは何らかの理由でトーク履歴復元の際にそのバックアップを見つけられなかったのか、というシステム上の問題があったのだと思います。
最大の問題は、この段階で元に戻せないことです。iPhone 11側でアカウント移行をし始めるだけだとまだ元に戻せますが、iPhone 12でアカウント移行の手続をした瞬間からiPhone 11側は使えなくなります。それが故に、この復元の際にいったん止めてバックアップをもう一度取ってからやり直そうということができないのです。
他の人がどのようなシチュエーションで復元できなかったのかは詳しく聞いていませんが、いずれにせよ同じOS間であっても消えてしまうということが多発しているのは事実です。
万人向けではないものの、回避策はある
前述の「LINEのデータはクラウドに保存されている」という根拠は、「メインの電話番号を持ったスマートフォンなどの端末以外に、PCやiPadでも使用することができる」ことです。
もしもMacを使用しているならば、Mac App StoreにあるLINEというアプリをインストールし、セットアップを終えると、メインの端末と同じようにLINEの3台重要機能「友だちリスト」「グループ」「トーク」が表示されて使えるようになります。これはアカウントセットアップでバックアップを取るのとは別に、これらの情報がLINEのクラウドにデータが存在しているという証左ではないでしょうか。でなければ、PCなどから過去のデータを見たり、送受信したりすることができないからです。
すでにクラウドにデータを保存しているのであれば、アカウント連携を別途しなくても良いじゃないかと思うのが自然です。クラウドの容量もすでに使っているならば、そのままユーザーに還元してくれれば良いと思います。もちろん、有料にするのもひとつの選択肢だとは思います。
さて、これが私が今思いつく回避策です(解決策ではない)。
この「他の端末と連携」機能を利用して、PCやMac、iPadなどにデータを表示させておけば、端末移行をして失敗したとしても、こちらの方はそのまま継続して使うことができます。
た・だ・し
これはスマートフォンの方にデータを戻してくれるわけではないので、あくまで「友だちリスト」「グループ」「トーク」がまったく時空の彼方に消えてしまうのを回避するということであって、完全なる解決方法ではありません。ただ、これであれば、友だちリストはPCやiPadなどの端末側に残っているので、改めてメッセージを送ればメインのスマートフォン側でも反映されるので引き続きやり取りできますし、グループも同様です。トークの履歴もメインのスマートフォン側では見ることができませんが、少なくとももう片方では見ることができます。必要であれば、ダウンロードしたりKEEPという機能に入れ直すこともできます。
LINEはデザインリニューアルの前にやるべきことがある
ここまで書いてきて、改めてLINEはアカウントの管理や端末移行の仕組みを見直して、誰もが簡単に使い続ける仕組みを提供するべきだと思いました。先日デザインリニューアルをしたと日経デザイン誌で読みましたが、そういうことをする前に人と人との繋がりを無くさないような仕組みをしっかりと作ってこそ、「24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラ」(めちゃくちゃしつこい)と胸を張って言えるようになるのではないでしょうか。
まずは自動バックアップはデフォルトONにしておくべきだと思いますし、当面アカウント連携しなければいけないのであれば、最初にLINEを使い始めるときにチュートリアルで知らせておくべきだと思います。
今回書いたような回避策も、老若男女に実施できる策ではありませんので、もっとユーザーに優しい方法を提供してもらいたいです。とはいえ、私は使いませんが。(ものすごくしつこい)
★
ネットで調べる限りはここで書いたようなことがすべてだと思いますが、他にいろいろ回避策があるのかもしれません。他にも良い方法があれば教えていただきたいので、コメントをください。
結局、母親はAndroidからiPhoneへの移行では過去の履歴はもろもろ消えてしまうことと相成りました。どれほどの大切なメッセージのやり取りだったかは定かではないですが、少なくとも孫の写真や動画などは見返すことができなくなりました(大切ならば保存しておくべきというのは正論ですが、まさか消えると思っていないわけですから日常的にそれをやらなければいけないと認識していないのも仕方が無いことだと思います)。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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