iPhone 5、アップルのウェブサイトでキャッチコピーに使われるように「誰もが夢中になる。それだけの理由があります。」といのはまさにその通りで、誰にでもiPhone 5はお薦めできる製品であることは間違いありません。Appleの決算発表でも、日本の販売増は66%だったということで好調ぶりが見て取れたわけですが、その後日経でも報道されたようにキャリアの施策によって「投げ売り」と表現しても良い状態になっていることがわかりました。
こんなまとめページまでできているのですが、iPhone 5は一括0円でなおかつキャッシュバックが付いているショップもあるようです。ここから考えると、iPhone 5は売れているというよりも配っているという方が正しい言い方なのではないかと思います。キャリアは月々の通信料で稼ぐので端末費用は払わなくても良いという姿勢なのでしょうが、あんまりに好きな手法ではありません。もちろん、ただでくれると言われても要らない端末もあるのでしょうから、「あの」人気のiPhone 5がなんと端末無料となれば欲しいと思う人も多いのではないでしょうか。

・実質0円と一括0円

私はいつも、iPhoneは発売日に一括で購入してしまうため、このような施策にはあまり関係しないので詳しくはなかったのですが、実質0円と一括0円には大きな違いがあるようで、これまでは実質0円だったものが、現在は一括0円になっているようです。ちなみに一括で購入してしまうのは消耗品として当期に損金計上するためです。

実質0円というのは、端末費用としては発生しているのだけれども24ヶ月間毎月割引されることで実質的に無料になるという施策です。たとえばソフトバンクのページの端末代金のところを見ていただくとわかると思いますが、iPhone 5 16GBだと端末代は51,360円なので月々2,140円を分割で支払うのですが、月々割という仕組みで2,140円を値引いてくれるので実質ここにお金がかからないということになるわけですので実質端末代はかからないということになるのです。

この実質0円の注意点は24ヶ月ソフトバンクと契約し続けなければいけないということです。割引は月々行なわれるので、途中解約するとこれがなくなってしまうからです。

そして、一括0円というのは端末自体一括購入にしても0円ということです。分かりにくいかもしれませんが、さきほどの実質無料の例では端末自体は51,360円でしたが、この一括0円は端末自体が無料なので一括払いにしておけば毎月の分割支払いが0円で、さらに月々割が毎月実施されるので実質的にはさらに端末代分値引もされるということになります。

もっと細かいことはあるのですが、簡単にいうとそんなところですから、これまでの実質0円から一括0円になったのはかなり大きなことで、これによって販売数（販売と言ってしまって良いのか疑問ですが）が大幅に増えることは必然ともいえます。なので、端末の魅力が増したということではなく、キャリア（もしくはショップ）の施策による出荷数増という見方が正しいのだと思います。

キャリアの競争は激化していき、端末代は無料どころか、他社から移ってくるMNPであればお金までもらえちゃうという状況は少し異常ではないかと思います。本来は端末に優劣、好き嫌い、価格の差があって選ぶべきなのだと思いますが、現在はキャリアの施策次第で変わってしまうというのは特にドコモのツートップ政策でよくわかったと思います。

なお、決算発表を見てみると、iPhone 5を取り扱っているソフトバンクもKDDIもiPhone効果として増収増益を続けています。そうすると、キャリアは端末代を無料にしたとしても十分に収益が上がるビジネスモデルで、私たちは高い料金を毎月払わされているとも言えます。たしかにiPhone 5になったときにLTEだからと自動的に、選択の余地なくLTE通信分の値上げといえる月額1,000円増しを飲まされました。

なんせ死に物狂いでお金を配ってでも端末をばらまこうが加入者を増やしたら勝ち、という時代は当面続きそうです。