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・はじめに
2年前の1月31日に当社にとって初めてのスマートフォンである「NuAns NEO」(以下、NuAns NEO [Reloaded]と区別するためにNuAns NEO [Windows 10 Mobile]とします)を出荷しました。時が経つのはあっという間で、その間にもさまざまなことがありました。最近、当社として初めてのUWPアプリである「TriCa」もリリースしました。
ここで、ひとつの区切りとして、NuAns NEO [Windows 10 Mobile]の今後についてお伝えしたいと思います。このまま何もお伝えせずに終息するのではなく、ここで一区切りとして状況をつまびらかにするのが、ユーザーの方々、ご期待いただいていた方々への、私としての誠意であると考えました。
発表から発売、注目していただいたみなさま、予約して購入していただいたみなさま、ご愛用いただいているみなさまには、本当に感謝の言葉しかありません。
・Windows 10 Mobile環境の変化
Windows 10 MobileはWindows 10とカーネル、APIセットなどを共通化したモバイル端末向けのOSとして、サーバ、クラウド、パソコンからスマートフォンまでをカバーするWindowsファミリーのアプリケーション領域を広げる戦略的な意味を持っていました。こうしたマイクロソフトの戦略におり、日本市場での普及を目指して日本語化および日本市場への投資も行なわれることとなり、幅広い端末、サービスをひとつに束ねる提案に、我々は将来の発展性を感じて、そのプラットフォーム立ち上げに参加させていただきました。そしてWindows 10 Mobile搭載を前提としてデザインしたNuAns NEO [Windows 10 Mobile]を開発、2016年2月1日にみなさまの手元にお届けすることができました。
その後、マイクロソフト社も我々も、いくつかのアップデートを重ねましたが、グローバルのスマートフォン端末におけるWindows 10 Mobileは採用製品が拡大せず、近年は大幅に縮小してしまいました。現時点で、Microsoft社から正式なリリースは出てきていませんが、マイクロソフト本社役員が一部メディアで発言しているとおり、今後の事業継続に関して明確な予定はないようです。
一般的にモバイル端末のOSは、メーカーが開発する端末ごとにカスタマイズして開発を行ないます。しかし、Windows 10 MobileはMicrosoft社がハードウェアの枠組みを決め、その上で機能向上やセキュリティ対策などを提供する、パソコンとよく似た仕組みで提供されています。これは我々のような端末メーカーが端末のソフトウェア面でのメンテナンスおよび機能追加を行なえないことを意味しています。
一部の愛用者からは、よりパワフルなプロセッサや高精細ディスプレイを搭載した「NuAns NEO [Windows 10 Mobile]の後継機種を」という声をいただいておりましたが、現時点におきましてOS開発の継続が明確ではないWindows 10 Mobile向けに、新たな製品を開発することはできません。
・Windows 10 Mobile開発会社の閉鎖
他方、端末開発においても大きな環境の変化がありました。Windows 10 Mobile搭載端末を開発する、いわゆるODM(Original Design Manufacturing、委託開発会社)と呼ばれる会社が中国や台湾にありましたが、それらの会社もWindows 10 Mobile搭載機の開発部門を閉鎖、もしくは会社によっては会社自体を閉鎖してしまったところもあります。
その結果、Windows 10 Mobile端末の設計・生産を委託できるODMの会社はなくなってしまいました。NuAns NEO [Windows 10 Mobile]を共同開発、生産委託していた会社も例外ではありませんでした。Windows 10 Mobileではもっとも多くの製品を手がけていた企業でしたが、会社そのものが閉鎖してしまいました。
他社の状況について詳細を語れる立場にはありませんが、自社でODMとしてMicrosoft社と契約している会社は一部の大手を除いてないと思われます。そして、当社を含めほとんどの会社がODM会社に開発委託をすることでWindows 10 Mobile機を開発・販売しておりましたので、当社のみならずWindows 10 Mobile機として同じ状況であると思います。
・NuAns NEO [Windows 10 Mobile]の開発終了
上記のような状況から、マイクロソフト社(当社のコンタクト先は日本マイクロソフト社となります)にも多くのサポートをいただきましたが、開発としては今後継続することができなくなりました。これには、後述する既知の問題を含め、新しい機能なども含めたすべての開発業務となります。
元々、TriCaをリリースしたときに大きい新しい機能の追加は予定していませんでしたが、ユーザーの方々からお寄せいただいていたいくつかのご要望も、今後盛り込むことができなくなりました。
・ETWS/Jアラートおよび、WDRT対応について
NuAns NEO [Windows 10 Mobile]における大きな問題点として、ETWS(「地震津波警報システム」を意味する「Earthquake and Tsunami Warning System」の略)の対応というのがあり、こちらはWindows 10 Mobileとして標準で対応できるということでしたが、テスト環境などが揃わず、また原因の追及に時間がかかり、結果として未対応のまま開発が終了してしまいました。
WDRT(Windows Device Recovery Tool)というユーザーが自分でリカバリーできる機能も、本来であれば標準でサポートできるはずでしたが、こちらも一度はスタートさせたものの、その後にアップデートができなくなるという不具合が発覚し、いったん停止しました。その後にODM会社とMicrosoft社でも長いやり取りを続けていましたが、結果としては原因の特定ができずに解決する事ができませんでした。
なお、Jアラートについては日本独自の対応となるため、Microsoft社としてWindows 10 Mobileは非対応という回答となりました。
これらは、我々のNuAns NEO [Windows 10 Mobile]販売時のカタログスペックとしてうたっていたわけではないものの、標準機能として搭載できたものなので、なんとか解決して提供したかったのですが、どうしても我々自身が手を付けられるものではなかったので、リマインドを繰り返すなどの追いかけ以上のことができませんでした。
当初、ODM会社側もMicrosoft社側もそんなに大きな問題ではなく、何かの設定程度のことということでしたので、私も解決は難しくないということで、解決していく旨の表明をしていましたので、ご期待いただいていたみなさまには深くお詫びいたします。
・ファームウェアの配布について
前記のようにWDRT非対応のまま開発が終了してしまうため、ユーザーの方ご自身でのファームウェア書き込みによる初期化ができません。そのため、苦肉の策としてファームウェア配信を検討しています。しかしながら、ツールの提供やその他、それなりにテクニカルな方法なのでどのようにできるのかを検討しています。まだ、提供すること自体を決定しておりませんが、この件については別途ご案内します。
追記:「リカバリー用イメージファイルの公開について – NuAns NEO Support」にて対応いたしました。
・Fall Creators Updateの配信
現時点においての最新バージョンであるFall Creators Update(RS3)について、NuAns NEO [Windows 10 Mobile]はアップグレード対応端末であるという事は既報の通りですが、現在、最終の検証段階となっており、これが終わりましたら配信を開始する予定です。
追記:「Fall Creators Update 配信のお知らせ」にて配信のご案内をしております。
・セキュリティパッチの提供
Windows 10 Mobileのウリのひとつであるセキュリティアップデートの定期的な配信については、Microsoft社のサポートポリシーの通り 、現行バージョンであれば2019年6月までとなっており、RS3を配信できたとした場合には2019年12月まではセキュリティアップデートは提供されます。
・カスタマーサポートおよび修理対応
カスタマーサポートおよび修理対応は継続して提供していく予定で、終了する予定というのは決まっておりません。ただし、パーツの在庫状況に寄っては修理不能になるケースが発生する可能性がありますので、その場合には都度ご相談させていただければと思います。すでに生産工場が存在していないので、パーツを再生産することができないという状況があります。
・今後の販売について
ここまで書いてきましたとおり、早ければ2019年6月にサポートが切れてしまうということもあり、1年間の保証期間を考えますと、当社の今期決算月である4月末にて販売を終了することとします。また、その前であっても在庫が無くなり次第、販売は終了することとします。もしも、ご希望の方はお早めにお買い求めいただきますようお願いいたします。
以上、長くなってしまいましたが、2年という節目においてお伝えしたかったことです。長い間、NuAns NEO [Windows 10 Mobile]をご支援、ご愛用、ご愛顧いただきまして、誠にありがとうございました。なお、読み間違える方はいらっしゃらないと思いますが、本記事はNuAns NEO [Reloaded]とはまったく関係ない話となりますので、なにとぞご理解いただきますようお願いいたします。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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コメント
2018.02.02 08:01 #1674 磯谷成二
#1674への返信
2018.02.02 08:01 #1674 磯谷成二
詳細なご説明有難うございました。
主にセキュリティの点でWindows 10 Mobileには期待をしていたのですが、致し方無いですね。
ようやくReloadedへ移行する決心がつきました。
今後ともお世話になります。
2018.02.03 13:12 #1675 きら
#1675への返信
2018.02.03 13:12 #1675 きら
開発終了ということで残念ではありますが、ステークホルダーや昨今のモバイル動向を考えると、当然の流れかと思います。
ほかの大手と呼ばれるメーカーと比較しても十分なサポート環境を提供されていたと私自身感じました。
Reloadedなど引き続き魅力的な端末やサービスの提供を期待しています。
2018.02.03 15:37 #1676 ほっしぃ
#1676への返信
2018.02.03 15:37 #1676 ほっしぃ
磯谷さん、書き込みありがとうございます。
ご理解いただき、ありがとうございます。私ももう少しMicrosoft社が頑張っていくのかなと思っていましたが、意外に方針転換が早かったなとは思いました。
NuAns NEO [Reloaded]の方もご検討いただけるという事でありがとうございます。今後とも、よろしくお願いします。
2018.02.03 15:54 #1677 ほっしぃ
#1677への返信
2018.02.03 15:54 #1677 ほっしぃ
きらさん、書き込みありがとうございます。
温かいコメントありがとうございます。これからはNuAns NEO [Reloaded]の方も頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。
2018.02.21 21:55 #1678 気ままに
#1678への返信
2018.02.21 21:55 #1678 気ままに
丁寧で詳細なご説明ありがとうございます。私は今回衝動買いで貴社のNEOを購入させていただきました。手にとって非常に心地よく、できる限り長く大切に使っていきたいと思っております。windows モバイルとPC windowsは非常に相性がよく( 当然ですよね )使いやすいです。諸々の諸事情があり残念ですが、大切に使っていきたいと思います。スマホに対する姿勢がブレない貴社を応援します。
2018.02.23 19:11 #1679 ほっしぃ
#1679への返信
2018.02.23 19:11 #1679 ほっしぃ
気ままにさん、書き込みありがとうございます。
私自身もユーザーだったら、なんとなく終わってしまうよりは事情を知りたいなと思いましたので、内部事情も含めて書きました。素材やデザインなど、モノとしてはかなり尖ったカタチに仕上がったとは思っており、これがNuAns NEO [Reloaded]にも繋がっていますので、このNuAns NEO [Windows 10 Mobile]のおかげです。
今後とも、よろしくお願いします。
2018.11.06 18:57 #5203
#5203への返信
2018.11.06 18:57 #5203
カスタマーサポートは継続していくっていってるけど、見積もりだけで1620円、送料も1814円、コレクト手数料660円て…
見積もり取るだけでどれだけ金取るの?
大体輸送ももっと工夫すれば安く済むのになんでこんな金のかかる方法とってんの?
修理の体制についてどう考えてるの?
2018.11.07 09:42 #5286
#5286への返信
2018.11.07 09:42 #5286
コメントいただきありがとうございます。NuAns NEOおよびNuAns NEO [Reloaded]のお見積もりにつきまして、お客様のご負担が大きくなってしまっておりますことを心よりお詫び申し上げます。
サポートセンターよりお預かり前にお電話またはメールにて案内があったかとは存じますが、1年間の保証期間が過ぎてしまったものや有償修理となる場合は、端末状態確認および原因調査のための点検技術料として、修理基本料金、送料、コレクト手数料のご負担をお願いしております。
配送費用等は運送会社が定めている料金のため、当社だけでの見直しなどはできかねますが、作業工賃(技術料)ついては、必要に応じて見直しを検討するなど、今後の課題とさせていただければと存じます。
サポートセンターのサービスの向上など、さらに努力をして参りますので、何卒、お見積もり発行時の金額に関してご理解をいただき、今後とも変わらぬご愛顧を頂戴できましたら幸いです。
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