- 10月
- 2024年11月
世の中、クラウドファンディングが盛んです。冒頭の画像はクラウドファンディングコンサルティング会社「コーレ合同会社」のクラウドファンディングカオスマップを使わせていただきました。これでたくさんのサービスがあるということを理解していただけるかと思って引用させていただきました。詳しくは、同社のサイトをご覧ください。
以前にこのような記事を書いていて、その後ずっと気になっているのが、さらに進行しているなと感じるようになってきましたので改めて記事としてまとめたいと思います。
まず、クラウドファンディングの定義について再確認をしておきたいと思います。Wikipediaには下記のように記載されています。
クラウドファンディング(英語: Crowdfunding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。
また、IT用語辞書には下記のように書かれています。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて一般人から出資を募る活動、または、そのために利用できるサービスのことである。クラウド(crowd)はここでは「群衆」といった意味である。
クラウドファンディングでは、Web上で自分が実現したい目的や事業計画を公表し、それに協賛して資金を拠出してくれる人を募集する。投資家ではない個人を対象として広く募集することができ、小口で無理のない額から寄付できるようになっているため、小額出資を数多く得ることによる資金集めが可能となっている。
日本で最大というサイバーエージェントの運営する「Makuake」における「Makuakeとは」にも下記の通り記載されています。
Makuakeとは、「アイディアを形にしたい人」と「アイディアを応援したい人」をつなぎ、新しいものを生み出していく場所です。
さらに、クラウドファンディングの老舗ともいえる、Kickstarterではクラウドファンディングについて下記のように説明しています。
Kickstarterは「こんなものを作りたい」というクリエイターたちの夢を実現するために、資金調達からプロジェクトの完成までサポートするコミュニティ作りのためのプラットフォームです。
長々と、引用を紹介しましたが、これらによって分かることは、クラウドファンディングとは「誰かが作りたいアイディアやサービス、製品を実現するのに対して、賛同した人たちがお金で支援する」ということだと言えます。しかし、現実には2つの大きな問題が存在していると思います。
ファンディングを成功しなくても製品やサービスは作られる
前述のように、製品やサービス(全体としてサービスも製品と考えて、以下は製品と呼称します)を作りたい人がアイディアやユーザーへのベネフィットや情熱を訴えて、それに共感したクラウド(群衆)が支援して、その支援金を元に製品が生まれるのがクラウドファンディングです。
たとえば、最近私が支援したプロジェクトは上記のものですが、これは残念ながら目標金額に達することができず、このプロジェクトとしては潰えてしまい、製品化されることはありませんでした。
冒頭のリンクでも紹介した当社のNuAns NEO [Windows 10 Mobile]のアメリカ版クラウドファンディングも、結果として「489人の方が「バックアップ」をしてくれ、合計で142,368ドル(1ドル100円換算で14,233,680円)を集めることができました」が目標金額には達することができなかったので、プロジェクトは中止となりました。
成功する製品がある反面、当然失敗する製品もあります。それは製品自体の魅力や、訴える側の見せ方や情熱不足などさまざまな理由はあると思いますが、それがクラウドファンディングだと思いますので、私自身も悔いはありません。
ところが、昨今はあまりこのような仕組みのものは見当たらず、すでに製品化することが決まっていたり、製品としてすでに存在しているものを発売する際にクラウドファンディングというプラットフォームを使うだけのものが多いように見受けられるのです。
今日現在で、国内最大級のプラットフォームであるMakuakeのプロジェクト内にある「今日のピックアップ」をすべて見るとほとんどが目標達成率100%を超えていて、よく見ると、そのほとんどが目標金額が相当低く、実際にその目標金額に達することが製品化とイコールではないように思えるものばかりです。
なお、ここでは特定のプロジェクトについての批判をしたいというわけではないので、このスクリーンショットに掲載されている個別のプロジェクトについて書いているわけではないということはあらかじめご理解の上、読み進めてください。
クラウドファンディングのサイトをざっと見ていると、同様のケースが多く、簡単に言えば「先行値引き予約販売をクラウドファンディングを通じて行なっているだけ」という場合がほとんどに感じました。出品する側にとっては、事前に予約して販売数が確保されるので生産数を先に読むことができるので大きなメリットがあり、ユーザーにとっても値引きして販売してもらえるので得な部分がある、という両社のメリットから考えれば、それはそれで特にビジネス上悪いことではありませんが、それをクラウドファンディングと呼ぶのには大きな違和感があるということです。
クラウドファンディングの原理から考えれば、All in方式はおかしいのではないか
もうひとつ、大きな問題と考えているのが「All in方式」と呼ばれるものです。MakuakeのサイトにあるヘルプではAll in方式について下記の通り書かれています(前述のようにMakuakeをターゲットにしているわけではなく最大手なので参考にさせてもらっているということです)。
1-7. All or Nothing(達成後支援型)、All in(即時支援型)とは何ですか? – Makuake ヘルプ
All in 方式 (即時支援型)
目標金額に達成しなかったとしても、終了日までに調達した金額(弊社手数料を除く)を獲得できます。
これもそもそもの趣旨からすれば、おかしな話だと思います。ユーザーが支援してくれて、ある一定金額になったらその製品を具現化できるというクラウドファンディングなのに、その目標金額に達することがなくてもユーザーは支払いが発生するということになります。それであれば、目標金額とは一体何の金額を指しているのか、ということになります。
結局のところ、クラウドファンディングとは名ばかりで、単に値引き先行予約販売だったり、目標金額は関係なく単にオンライン販売をするだけだったりということが多いのです。また、極端に目標金額を低く設定し、達成したということを言いたい、または1000%以上の達成率だったとかいうことを喧伝するための宣伝行為のみだったり、するように感じます。
なぜ Kickstarter のファンディング方式は all-or-nothing なのですか? – ヘルプセンター
All-or-nothing (オール・オア・ナッシング)とは、プロジェクトがファンディングゴール (目標金額) に達しない限り、そのプロジェクトを支援したバッカーに一切の請求が発生せず、クリエイターに資金が提供されることもない、という仕組みを意味します。
なお、KickstarterはいわゆるAll in方式は採用しておらず、「All-or-nothing方式」のみとなっています。これこそクラウドファンディングと言える仕組みだと思います。
最近ではこのような規制も入るくらい、機能性が謎の製品があったり、明らかに誇張だよなと思えるような製品紹介があったりするので、エスカレートしてきてしまっています。とにかく、お金を集めれば良いというプロジェクトが多いように感じます。
実際、本来のクラウドファンディングだけであれば、こんなにも多くのプロジェクトが生まれてくること自体、あんまり考えられないことです。なぜならば、世の中に存在していない製品を生み出すのに、自分に資金力が無くて進められず、市場にニーズがあるかも確かめたくてプロジェクトを立ち上げるのですから、ボロボロとたくさんのプロジェクトが生み出されてくるものではないからです。実際に、前述の通りこういうプロジェクトは非常に少ないです。誇張合戦になっているのも、結局はプロジェクトそのもののアイディアよりも、売りたいということだけが先行しているからなのではないかと思います。
もちろん、こういう事例だけではなく、クラウドファンディングという仕組みをしっかりと使って、実現しているプロジェクトもあるので、クラウドファンディング全体がダメだというつもりは毛頭ありませんが、現在は大半がクラウドファンディングじゃないと感じるということを書きました。
私自身、クラウドファンディングでのみ販売しているような値引き先行予約販売製品を購入したことがありますが、クラウドファンディングサイトでは、本来のクラウドファンディングをやって欲しいと思います。これは運営側の問題もあり、ファンディングされた金額から手数料を徴収するビジネスモデルなので、どんどんとプロジェクトを立ち上げてもらって、目標金額が明らかに少なかろうが、もしくはAll in方式であれば、クラウドファンディング運営側に必ず手数料が入ってきますので、正直なところ、運営側からどんどんプロジェクトを立ち上げるように誘導しているのではないかと思っています。
実際には、「お金だけでは製品はできないのですよ。 | トリニティ」で書いたとおり、お金があったとしても作り上げるのは難しいのが現実です。しかし、そういうのも含めてユーザーが直接支援していく仕組みは素晴らしいと思うので、本来の姿で広まっていって欲しいところです。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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