初めまして。3月よりトリニティのメンバーとなりましたぽーると申します。以後、よろしくお願いいたします。

以前ほっしぃ が触れたように私は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により3月2日に初出社、翌3日から3週間のリモートワークという思いもよらぬかたちでの新しい船出となりました。

20年以上編集者として働いてきて、なかでもとりわけ旧い体質の出版社にいましたので、まさしくペーパーフルカンパニーからペーパーレスカンパニーへの転身で、トリニティで初めて出会うシステムには、戸惑っています。

リモートワークで過ごした時間は、先輩社員にかえって仕事を増やしてしまう不甲斐なさに苛まれる日々でもありました。

システムとかソフトウェアに関しては、野球でいうところの軟式球から硬式球に変わったようなものなので（野球部出身ではない）慣れの問題と気楽に構えてますが、新しい職場と人に馴染むもなにもない段階で、考えたのは

会社という場所で働くとは何なのか？

オバマ政権で公衆衛生局長官だったヴィヴィエック・マーシーは在宅勤務やギグ・エコノミーといった契約形態など一見個人の裁量が増える働き方は、社会に孤独を増やすとの見解を述べています。その孤独は創造性や意思決定能力を損なうとも。新天地、入社早々のリモートワーク、加えて今回のような事態でこそ、それを感じました。

全く違う業界へ身を置くことになりましたが、面白いヒト、モノ、コトを探し出し、それらが交差するさまを世にパブリッシュする＝社会化することの面白味は変わらないと思っています。

キャリアの大半は製品情報誌、対象はモノでありましたが興味、取材対象はあくまで他の誰の真似でもないアイディアで、自分自身が見たい景色を描こうとしている“ヒト”です。

今あるモノ、コトを本当にこのまま続けるのか？　もっと世をエンターテインできるのではないか？　一市民として自分の見たい景色とは？

そんなことを考えているヒトたちの頭の中をのぞき見しに行くのが面白かったのだと思います。

たとえば、スイスのフィーチャーフォン「Punt（プンクト）」、スウェーデンからは音楽配信「Spotify（スポティファイ）」、トリニティでもコミュニケーションツールとして使っている「Skype（スカイプ）」はエストニア。

これら、バルト三国を含めて北欧からは他にはないアイディアと、小さな共同体で互いに協力しながら世界に出る企業が生まれ、これまでと違う景色を描き始めています。豊かな資源がない小国が、アイディアで世界に打って出るのは、日本とも通じるのではないでしょうか。

今回移動、外出を極力控える事態となって、見知らぬ人が行き交う街に出るだけで、なんと幸せと感じたことか。このリモートワーク期間中、自分のスマホでのヘルスケアアプリで1日の最少歩数は7歩を記録。中国はじめ厳戒態勢の下、今も封鎖を経験している世界中の人たちの苦労は計り知れないものがあります。

ビジネス、ひいては生活の価値とは、やはり人間の交差なのだと感じましたし、それこそが見たい景色です。実際、リモートワークを試しての社内アンケートでも、多くの社員が、ちょっとした相談を隣の席の社員にできないことが不便と感じていたようです。

新しいビジネスとして、シェアオフィスやコワーキングスペースが生まれ、ワケーションなる働き方などが可能になったのも情報技術あってこそ。それは家族との時間を確保したり、人生の楽しみという、見たかった景色のある場所までの乗り物だと思っています。

モノ、カネの動き方は、すでに大きなパラダイムシフトを起こしていますが、人間交差点の景色は変わらないはず。

何を話さずとも、同じ空間＝会社や街で働く。人が行き交う職場は、やはり面白い。当然、気に入らないことも、嫌なことも出てくる。だからこそ面白い。トリニティは20人そこそこ。この小さなコミュニティの交差点でメンバーの頭の中をのぞき見し、面白がることからまずは始めたいと思います。

そして、今トリニティのファンでいてくださる方々、これからファンになってくださる方々のいる交差点へ。見たい景色を探しにご一緒させていただきたく思います。