スマホを発熱から守る -4.5度 スマ冷えシートの秘密

2020.11.30

先日リリースしました、スマ冷えシートのご紹介をしようと思います。この製品の開発背景を語るのに、スマートフォンと熱の関係、導熱、蓄熱、放熱などの違い、熱量保存の法則など、さまざまなキーワードが出てきます。人によっては大変退屈な説明になってしまうかと思いますので、気になる方だけ読んでいただければと思います。

私としては仮説と検証を繰り返し、やっとたどり着いた、本当に効果がある蓄熱シートだと自負しております。

Simplism

スマートフォン冷却シート「スマ冷え」

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スマ冷えシートの使用場面

まずは、スマ冷えシートの利用場面をご説明いたします。スマ冷えシートを使い、温度の上昇をゆっくりさせることで温度の差を作り出すことができます。

スマホバッテリーの長寿命化

ゲームをしながらの充電など、急激な温度上昇はバッテリーを激しく痛めてしまいますが、スマ冷えシートを使うことでバッテリーの熱による劣化を防ぎます。

アプリのシャットダウン防止

高温下でのカメラを使った動画撮影など、ハードな処理を伴う動作において、スマ冷えが温度の上昇を遅らせることで動作可能時間を伸ばします。

保護ケースと一緒に使える

極薄0.9mmのため、ほとんどのケースの中に入れることができます。また、“蓄熱”方式であるため、ケースの中でも冷却効果を発揮します。

“導熱”と“蓄熱”の違い

スマホの熱を下げる方式は、“導熱”シートを貼り付けるものが主流でした。ところが、実際に調べてみると導熱シートの効果は非常に薄く、ほとんど温度に影響がないばかりか、逆に冷却の邪魔をするものもありました。

スマ冷えシートは、市場で主流の“導熱”方式ではなく、“蓄熱”シートを使った、史上初の冷却シートです。

導熱とは…熱を熱源から、別の場所に伝導することを言います。
蓄熱とは…物体が直接熱を溜め込んで、熱源を冷やすことを言います。

以下はそれぞれの動作イメージになります。

熱量保存の法則の通り、熱は勝手に消えてなくなることはありません。最終的には空気中に放出しなければならないのですが、無風状態での放出には長い時間がかかります。導熱シートは熱を伝えるのが早いのですが、この使い方では伝える先がありません。アルミのヒートシンクなり、ファンなりがあれば熱を伝えた先で空気中に効率よく放散できますが、そういった放出先がない場合、導熱シートはまったく意味のないものになります。

シートを貼るだけで永久に温度を下げることができればいいのですが、空気中への熱の放出を上げるには、先ほども申しましたとおり、ヒートシンクなどの大型のものが必要になります。スマホにそれらを使用するには電波の阻害にもなりますし、何より携帯性に問題が出ます。

そこで、今回の蓄熱シート「スマ冷え」は、一時的にシート内部に熱を溜め込むことで、溜め込める熱量が飽和するまでの間、低温に保つことができる、という仕組みになります。

冷却シートの性能比較

試験方法は、一定の熱量で温度を上げるホットプレート※の上に、スマホと同様の強化ガラスをのせ、その上に温度計を貼り付けます。温度計の上から各冷却シートを貼り付けて30秒間加熱し、そのあと自然冷却した時の温度の動きを計測しました。

※スマートフォンに直接貼り付けてしまうと、ベンチマークなどを使用しても毎回ICチップの使用率やバッテリーの残量が変わり、温度上昇にばらつきが出て正確に測れないので、ホットプレートで一定の条件にしています。

加熱30秒後のピーク温度比較の結果

  • “導熱”シートは、シートを貼っていないものよりも温度が上がってしまう。
  • “放熱”シートは温度を赤外線に変換して冷却するシートだが、作動温度が60度を超えないと効果が出なかった。
  • スマ冷え“蓄熱”シートは、スマホの実用温度35度辺りから効果を発揮し、ピーク温度を大きく下げ、温度上昇をゆっくりとさせる効果があることが分かりました。

スマ冷えの動作説明

スマ冷えシートは、PETフィルムの内側に、最先端テープ素材を研究している、日本の共同技研化学研究所が開発した、「FREY」蓄熱シートを内蔵しています。

FREY内部には、35度前後から個体から液体に変化するフィラーを閉じ込めたマイクロカプセルを無数に練り込んでいます。このマイクロカプセルが液化することで温度を吸収します。すべてのフィラーが液化してしまったら、飽和温度となり温度が上昇を始めます。また冷却が進めば再度個体に戻り、半永久的に使用できます。

導熱シートの効果の差について

導熱シートは、熱源の熱を瞬時に別の場所に移すという機能がありますが、最終的に空気中に放熱しなければなりません。ここにアルミのヒートシンクなど、空気と大きな面積で触れる放熱材があればいいのですが、ない場合はシートの中で温度の行き場がなく、スマホ側にも熱を反射してしまいます。

蓄熱シートはフィラーがすべて液化するまで、熱を溜め込み続けます。永久に熱を溜め続けることはできませんが、スマホの高速動作が終わるまで、温度上昇をゆっくりと遅らせることで高温状態の時間を少なくさせます。

効果測定について

スマ冷えの効果はどのくらいあるのか、手軽に測りたい時のお話です。前項で申しました通り、長時間のゲームや、ベンチマークを走らせてCPU温度などを見る、という検証方法では効果が分からない、もしくは分かりづらいのです。それはどうしてなのか、注意深くご説明させていただきます。

当製品はあくまで蓄熱のため、溜めておける熱量を超えると温度上昇が始まります。温度上昇のイメージグラフを添付します。

このように、35度を超えたあたりで温度上昇が止まり、溜めることができる熱量が飽和すると、再度上昇を始めます。シートを貼っていない時と比べて温度上昇のスピードを遅らせます。同じ経過時間で見ると、貼っているのといないとでは、最大-4.3度の差が出ます、ということになります。

最終的にスマホ自体が最大温度のところでチップのエネルギーコントロールを始めるため、長時間の使用では同じ温度に達します。

ただし、その温度上昇の速度に差があり、スマ冷えを貼ってある場合は数分程度(負荷や気温などによって変わります)、貼っていないときよりも低温に保っている期間が存在し、高熱による機器へのダメージがより少なくなります。

また、ベンチマークテストなどでは測るたびに結果が変わります。これはスマホ自体が各種センサーを駆使して、温度管理をシビアに行なっているため効果が分かりにくくなっています。

スマ冷えの特性として、1分2分の動画撮影など、チップ駆動が瞬発的に上がって下がる場面では、温度が上昇し切る前に熱を吸収し、ピーク温度の差は大きく出ることになりますし、温度が上がり切ってしまったとしても上昇速度を遅らせます。

スマ冷えシートの構造

蓄熱シートをあらゆるスマホに貼り付けられるように、コンパクトなカードサイズに加工しました。再剥離できるシリコン吸着性で、自由な場所に貼り付けできます。また薄さは0.9mmのため、一般的なケースとスマホの間に貼り付けることができます。蓄熱構造により、ケースの内側でも効果を発揮します。

スマ冷えシートは、0.9mmの薄さの中に3層の構造でできています。上層は熱成形して強度を上げたPETフィルム、中の蓄熱シートを守ります。FREYからの熱を空気中に放出する役目も持っています。中層は共同技研化学株式会社の蓄熱シート、FREYがサンドイッチされています。下層には極薄の粘着フィルム層がスマホに張り付き、熱を瞬時に蓄熱シートに伝えます。

一切の金属を使用しておらず、電波の妨害などは起こりません。MagSafeアダプターについても、スマ冷えシート越しに充電が可能です。

スマートフォンの熱による劣化は、使用してすぐに起きてしまいます。なるべく早めに貼っていただくことで、温度上昇を遅らせる効果が積み重なり、大きな劣化の防止につながりますので、ぜひともご検討ください。

また、オリジナルの色やデザインを印刷して、ノベルティとしてもご用意できます。詳しくは以下のブログをご覧ください。


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記事中の製品

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スマートフォン冷却シート「スマ冷え」

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このブログを書いたスタッフ

開発

ようへい

開発、生産工程に関わる。家具メーカーのセールス時代に星川と出会い、意気投合してトリニティに転職。製品開発で中国に何度も通ううちに辛い食べ物に覚醒。隙があれば食べ物にハバネロソースをかけてしまうため、周囲から嫌がられている。

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