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- 2024年11月
大阪府、兵庫県、宮城県に続き、東京都、京都府、沖縄県でも新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための「まん延防止等重点措置」が発令されました。内容については、ここで記載することではないので下記の内閣官房特別ページをご覧ください。
東京都が対象になれば、一都三県として一体で取り組むと言っていた我らが埼玉県をはじめ、神奈川県や千葉県も同時に要請するのかと思いきや、東京都以外は様子見のようです。この措置を発令すると自治体に何かデメリットがあるのか分かりませんが、特に明確な基準を示さずに雰囲気で様子見をしているような印象は拭えません。
メインターゲットは飲食店
結局のところ、まん延防止等重点措置もメインのターゲットとしては飲食店で、少し緩和された営業時間を再び20時に短縮する必要があります。実際に、21時だと感染がまん延し、20時だとまん延が防止されるという根拠が示されているわけではないので、これにどれくらいの効果が期待できるのか分かりません。
ただ、もちろん法的に正しい手続を経て、民主的に選ばれた政府や自治体の権限を持った方々が決めたことですから、いったんはそれに従う必要があります。当社で運営しているインタリアンレストラン「トラットリア・トリニータ」も現在は21時までの営業としていますが、埼玉県でもまん延防止等重点措置が発令されましたら、20時までの営業に戻す予定です。
サポートは雇用調整助成金と感染防止対策協力金
飲食店において、政府や自治体からサポートを受けられるのは大きく分けて雇用調整助成金と感染防止対策協力金の2つです。そのサポート自体はとてもありがたいものなのですが、実際に飲食店目線で言えば、かなりアンバランスと言わざるを得ない実態です。
使い勝手が悪く、大幅にキャッシュフローが悪くなる雇用調整助成金
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)というのは、事業主が営業時間短縮やその他の事情により業績が悪化したのにも関わらず、労働者を解雇せずに雇用を続け、休業したとしても休業手当などを支払う場合に、中小企業では10/10、つまり全額を助成してくれるという制度です。
詳しくは上記のページを見てもらうのが良いのですが、簡単に言えば、「休業しても給料を払い続ければ、100%給料について補償する」というものです。休業日1日あたり15,000円が上限となりますので、単純計算1ヶ月30日程度とすると450,000円までが補償されます。
こんな良い制度があるならば、使うしかない。誰もがそう思うと思います。昨年2020年、トリニータは緊急事態宣言を受けて4月11日から5月31日までを休業しました。その時には社員であるシェフとアシスタント、アルバイトが全員休業となりました。その間も、この助成金があるということで全員満額給料を支払いました。アルバイトについては、直近3ヶ月のシフトから割り出した平均給料を支払いました。
正直なところ、1ヶ月以上まったく働くことがなく、全額給料がもらえるのですから、その点だけ考えると彼ら彼女らにとってはある意味「良い状態」になりました。当社の場合には、自社物件での運営のため家賃も発生してないということもあり、休業すれば主な経費は人件費だけとなるので、それが助成されれば何の問題も無いといえます。
ただし、もうすぐ1年が経過する今日にいたっても、この助成金は振り込まれていません。申請についても、すったもんだがあり、その後もかなり時間が経ってから新しい情報や書類を要求されたり、こちらも混乱して正しく進められなかったりと、なんだかんだありつつも、結局先行して支払った給料は「持ち出し」のままになってしまっています。
当社は本業として、デジタルライフ製品の販売などがあるため、急にキャッシュフローが悪くなって運営が行き詰まるということにはなりません。しかし、一般的な飲食店だったら、休業して収入が無い上に1ヶ月以上の給料を先払いしてしまっていたら、かなり苦しい状況に陥ると思います。
もちろん、良かれと思ってサポートする仕組みを作ってもらっているのは理解していますが、それでも結果としてはこれがアダとなって経営が傾いてしまった飲食店があるのではないでしょうか。
感染防止対策協力金は、規模によっては逆に恵まれすぎる
雇用調整助成金の方は騙された気分になってしまった飲食店経営者も多かったのではないかと思います。しかし、逆に現在の感染防止対策協力金の方は、トリニータのような都内ではない場所で運営する小規模の飲食店にとってはとても恵まれた仕組みといえます。
緊急事態宣言下では、もろもろ新型コロナウイルス感染症対策をし、20時までに閉店していれば1日6万円が一律支給されました。元々の定休日もカウントせずに30日間であれば単純に180万円です。
埼玉県新座市に位置して、東武東上本線志木駅から徒歩7分くらいの場所ですから、家賃があっても高くて30万円程度です。そもそも売上も300万円前後で、食材費や人件費を入れるとおおよそ利益としては30万円前後です。そうすると、180万円というそのまま利益になる金額をもらうとすると、それまでよりも利益が増えてしまうのです。
トリニータはまだ、人件費も社員とアルバイトを入れるとそこそこあるのですが、飲食店で元々20時以降も営業していた店舗ということでいえば、1人で運営している数名しか入らないようなお店などは、場合によっては売上高ぐらいの金額になると思います。
そして、何よりも良いのは、すでに振込がされたということです。まだ継続している施策のため一定期間の分ではあるものの、こちらは精査する余地もほとんどないために比較的簡単に申請し、振込もそんなに遅れることなく実施されました。
チェーン店だったり、大きな店舗や都内の家賃の高いところだと固定費だけで200万円を超えるところもありますから、180万円では賄えないということで困るところもあります。
今後は、事業規模によって上乗せが変わるということですが、これまでで言うとかなりアンバランスでした。早く支給したいということがあるので、昨年の特別定額給付金のように一律にすることが迅速に進められることだとは理解していますが、最初の緊急事態宣言からかなりの月日が経過しているので、もっと準備が進んでいてもおかしくないはずです。上記のように飲食店側が声を上げたことが影響して、改善に向かっているのかもしれません。
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最後に、なんだかんだ飲食店はこの協力金によってサポートされているので、恵まれているのではないかと思っています。多くの業種で、新型コロナウイルス感染症そのものだったり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって売上が落ちてしまったところ、その回復が見込めないところもあると思います。新型コロナウイルス感染症が原因だったかどうかというのは見極めが難しいところもあるのは十分に理解した上で、飲食店以外にもサポートを広げていって欲しいところです。
日本の財政が苦しいということはありつつも、閉店してしまった飲食店、閉業してしまったホテル、などなど一度事業を清算してしまったら元に戻れない場合がほとんどですから、あと少しの間はなんとか耐え忍んで、今後の回復と共にまた元気になって欲しいところです。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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