- 9月
- 2024年10月
【スマートにHDMIを分配できるSmartSplit(その1)】
これまで、Gefen製品や多くのHDMI分配機を見たり触ったり販売したりサポートしたりしてきた中で、いつもぶち当たる壁が「HDMI信号の分配におけるEDID読み取り」の問題でした。
この問題を理解するためには多少技術的なところをなぞらなければいけませんが、これまで問題が発生していても「相性です」とか漠然として納得できないようなことを言われてきたことが、実際には明確な理由があったということがわかりますので、少しだけお付き合いください。
まず、HDMIで接続された2つのデバイスがどのように信号をやりとりしているかを簡単に説明します。
HDMIは非常によくできた規格で、HDMI同士で接続された2つのデバイスはそれぞれ映像と音声信号、それに制御信号をやりとりするだけでなく、接続した相手がどのようなデバイスで、かつどのような信号を受け付けることができるのか、ということを理解した上で、ソース(信号の出力元:DVDやBlu-rayプレーヤーなど)はデスティネーション(信号の出力先:ディスプレイやAVアンプなど)に対して「適切な」信号を出力します。元々はコンピューターとディスプレイを繋いだ際に解像度などの情報を読み取る仕組みであるEDID(Extended Display Identification Data)情報を流用して使用しています。
この仕組みにより、たとえばテレビが最新のDeep Colorに対応していればDeep Color信号を出したり、アンプがDolby TrueHDに対応していればDolby TrueHD信号を出したり、対応していなければ出さなかったりということが可能になります。
これにより、ユーザーは特に意識をしなくてもHDMIケーブルで2つのデバイスを接続するだけで映像と音声を楽しむことができます。もちろん、機種によっては自分のセッティングをすることも可能ですが、初期設定としてはソースはデスティネーションのデバイスの一番良いスペックに合わせて信号を出力することが一般的です。
しかし、この優れた仕組みが「HDMI信号を分配」する際には仇となってしまうのです。
前述のように「2つのデバイス」が1対1で直結された場合には基本的に問題ないのですが、HDMIを分配するということは1つのソースに対して2つ以上のデスティネーションが存在するということになります。そうするとソースがどのデスティネーションの信号を読み取って信号を出せば良いのかがわからなくなってしまうのです。
そのため、たとえば2分配のHDMI分配機の場合、2つのデスティネーションが同じデバイスでスペックが同じであれば問題は発生しないのですが、異なるデバイスである場合に、片方には適切な信号が送られても、もう片方には適切ではない場合が考えられます。これが、HDMI分配機にまつわる最大の問題点です。
そして、これまでのHDMI分配機の多くが、出力の1番に接続されたデスティネーションのデバイスのEDIDを読み取りソースに伝達、ソースは出力1のデバイスに合った信号を出し、出力2番以降には出力1番のデバイスと同じ信号が送られるという仕組みになっていました。この場合、出力の1番と同等、もしくは上位のスペックを持っているデバイスが2番以降に接続されている場合には問題は起きませんが、そうでない場合には問題が起きてしまいます。
とても簡単な例を挙げるとすれば、1番に1080pまでの解像度に対応したフルHDディスプレイが接続され、2番に1080iまでの解像度に対応したディスプレイが接続されていた場合、2番目のディスプレイは映像を出力することができません。逆に接続した場合には、一般的には1080pに対応したディスプレイは1080iにも対応しているため、両方が1080iで映像を出すことができます。
しかしたとえばAVアンプとディスプレイがあった場合などにも問題が発生する可能性を多く秘めています。特に最近は良いスペックの機器も出始めてきましたが、映像スペックにおいて1080i対応のAVアンプなどが多く存在しています。この場合、AVアンプを1番に接続すると映像は1080iになってしまい、逆にディスプレイを1番に接続すると音声が2chになってしまうというジレンマに陥るのです。
文章だけで書くと、少し難しいので、後で図解ができるようにしますが、今日のところは文章のみで説明しました。なんとなくは理解していただけたでしょうか。
そして、これらの問題を解決するためにはどうしたら良いかというのをずっと考えてきて、今回初めてカタチにしたのが「SmartSplit」なのです。この機能の紹介を次回以降じっくりとしていきたいと思います。
…つづく。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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