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- 2024年11月
2024年度を目処に新紙幣・新硬貨を発行するということですが、少し唐突な印象を受けるのと、それはどんな意味を持つのか考えてみました。上記の財務省のウェブページには意図として「偽造抵抗力強化等の観点から」新紙幣を発行するということになっています。
【図解・経済】偽造紙幣の発見枚数(2019年4月):時事ドットコム
こちらの記事を見ると、2018年に1万円札で1,523枚の偽造紙幣が見つかったとのことで、単純に1,523万円分となります。現実に偽札のようなものが日本において多少なりとも流通していることに驚きですが、ただ、それを防止するために、相当な金額の費用をかけるということになります。特に新紙幣を発行する財務省だけでなく、その紙幣や硬貨を使えるようにするためのシステムに莫大な費用がかかります。
なぜ”5年後の新紙幣”をいま発表したのか | プレジデントオンライン
この記事によれば、「現金自動預払機(ATM)や自動販売機などの改修で、紙幣のデザイン変更への対応で7700億円、500円硬貨への対応で4900億円。合わせて1兆2600億円の需要が見込まれる」とのことです。しかし、これを「需要」と呼んで良いのかどうかは甚だ疑問です。
新紙幣・新硬貨に対応するために、民間企業がATMや自動販売機を自らの費用で改修する必要があるということです。もちろん、その機械を製造していたり、ソフトウェアなりを開発している会社には発注がいくので、実際には需要といえるのかもしれませんが、そのお金の出所は国ではなくて民間企業です。
新紙幣、浮かぬATM業界 キャッシュレスが逆風:日本経済新聞
キャッシュレス決済とは 日本、2025年までに4割目標:日本経済新聞
ここで出てくる疑問が、日本という国はキャッシュレス化を目指していたのではないかということです。上記の記事にあるように、2025年までに4割を目標とするとしているのに、新紙幣・新硬貨を2024年度に発行するというのは何か矛盾しているように感じます。
私は勉強不足で詳しくなく、かつGoogle先生に聞いてもそのものズバリの記事などが出てこないのですが、この新紙幣・新硬貨に対して民間企業が対応する「義務」としてあるのでしょうか。たとえば、2千円札は使えない自動販売機やATMもあるようですし、現在はあんまり流通されていません。今回の刷新の対象にも2千円札は含まれていませんでした。ATMなどで現金の預け入れや引き出しのサービスを実施している会社が、軒並み対応しないとしたら、この新紙幣・新硬貨はどうなるのでしょうか。2千円札はまさにその一例とも言えるのではないでしょうか。
もしかして、政府はこれで新紙幣・新硬貨を流通できないようにして無理矢理キャッシュかを進めようとしているのではないでしょうか(ないでしょうね)。
日本全体、何々Payとかが雨後の筍のように生えてきて、日本全国キャッシュレス化に進むと思われているところに、こんな記事も見かけたりします。ゴールデンウィークで何か買い物をしようとか、レジャーに行こうという人たちが現金を引き下ろしたというのは、そこで現金が必要だと思うからなのでしょう。いまだに、25日から月末にかけて銀行ATMの前を通りかかるとたくさんの人が並んでいます。
私自身は、日常的にできる限りのキャッシュレス支払いを心がけているので、現金を下ろす必要性がほとんどありません。そのためこの行列に並ぶことはありませんが、どうしてもまだまだ現金支払いのみしか受け付けないお店も多いようなので、その受け皿がしっかりと整備されない限りは現金の需要はあり続けるのかもしれません。
というわけで、今回の新紙幣・新硬貨発行は政府によるキャッシュレス化推進という深い思惑があるのではないかと思いましたが、単に需要はまだまだあるのと偽造防止、そして令和元年に発表したかったということなのかもしれません。
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個人的には現金というものが消滅してしまっても、支払う受け皿さえ用意しておいてくれるならば何も困ることはありませんので、是非ともそうして欲しいところです。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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