- 11月
- 2024年12月
当社Simplismが今回発表した新しいiPhone 11向けのアクセサリーとして、皆さんが違和感を感じるのではないか、という製品があります。
▶「UVカットガラス」シリーズ
これは一体何なのでしょうか。
以前にも説明したようにブルーライトのカットについては皆さんもイメージがつかめると思います。しかしながらUVカット? となるとわかりにくいと思います。簡単に言えば、この製品は太陽光が発しているUV(紫外線)による画面の劣化からiPhoneを守る、ということになります。
そもそも、iPhoneが普通に使っていて日差しで劣化するとは誰も考えもしないと思います。ところが、特定の条件でディスプレイの表示品質が激しく劣化してしまうことが、科学的に証明されています。
iPhone 11 Proが使う、OLEDディスプレイ
iPhone Xから始まり、XS、XS MAX、11 Pro、11 Pro Maxで使用されている、OLED(有機EL)ディスプレイとは、有機化合物に電気を流して自己発光させて色を表現する方式です。細かい技術は割愛しますが、いわゆる液晶ディスプレイと比べて以下の利点があります。
・非常に薄く作ることができる
・漆黒のような黒色を表現することできる
・曲げたりすることもできる
これだけ見ると、OLED技術はいいことだらけに思えるのですが、有機化合物を使うことで、逆に以下のような弱点がわかっています。
・同じ光量で光らせ続けると焼きつきのような現象が起きる
・外部からの紫外線(UV)の照射によって有機化合物の発光量が落ちてしまう
焼きつきについては、少しずつ点滅させたり、明るく表示させ続けないことなどの設定によっておおよそ回避されています。しかしながら今回問題にしているUVによる発光量の劣化については、完全な解決方法がまだありません。UVで劣化してしまうメカニズムとしては、こちらに詳しくのっています。
劣化のメカニズムはどうあれ、実際にはどうかが大事です。当社でもわかりやすいように、以下の条件でiPhone XS MaxにUVを照射してみました。
使用機器:キセノンアーク灯光式ウェザオメータ アトラスCi4000
放射照度:50W/㎡(300-400nm)
照射時間:100時間
この衝撃的な写真ですが、iPhoneの左側半分がUVに直接曝露していた部分になります。だいたいこの条件というのは、気候や使用条件によって大きく変わりますが、一日に1時間程度、半年程度続けて使った時と同じくらいの照射量になります。iPhoneを2年間の買い替えプランなどで購入したとしても半年くらいで劣化がここまで進んでしまう可能性がある、となると恐ろしい劣化の速度ではないでしょうか。
劣化具合は動画見るとよくわかるかと思います。
UVを99.9%カットしてiPhoneを守るガラス
では、全く変化のない右側はなんなのか、というお話ですが、ここから今回の本題になります。上記写真の右側は、UVを99.9%カットするガラスを貼って保護していた部分になります。実際に試験では以下のようにセッティングをしてUV照射をしています。
実際に使用していると、このように半分だけ保護するということはないので、全体的に劣化して黄ばみ始め、身の回りで新品のiPhoneを購入した人と見比べると、「あれ?こんなに黄色かったかな?」と驚くことになると思います。太陽光の下でiPhoneを使う場面ですが、例えば海や山のレジャーに出た時以外にも、車でのナビがわりに使っていたり、ポケモンGoやドラクエウォークをやっている時、ぐるなびでお店に向かっている時など、かなりの場面で太陽光にiPhoneを晒していると思います。
しかしながら、このUVカットガラスがなくても、使わないときは画面を裏側にする、フタ付きのケースに入れてフタを閉じる、などの対策は考えられますが、何れにしてもそのままでは使用している時の劣化は防ぐことができません。そこでUVによる劣化を防ごうと開発したのが、今回ご紹介しているUVカットガラスシリーズになります。
UVカットガラスの構造について
一般的な保護ガラスには携帯電話本体への吸着と、割れた時の飛散防止を目的として裏側にPET素材の薄いフィルムを貼っています。UVカットガラスシリーズでは、この薄いフィルム部分にUVの波長をカットする、東レ社が開発した、「ピカサスUV」というハイテクフィルムをガラスに組み合わせてディスプレイを紫外線から守っています。
東レ社のピカサスUVとは
ピカサスは元々は加飾を目的とした成型用のフィルムで、樹脂と一緒に成形することでメッキ加工のような効果を出したり、ハーフミラーのような装飾をするためのフィルムになります。本物のメッキに比べて優れているのは、メッキは電波に影響してしまう金属が含まれているのですが、ピカサスであれば電波を一切阻害することがありません。そのため、様々な電波を発しながら動作している携帯電話には最適と言えます。
もう一つの特徴として、特定の光の波長を反射させることができる、ということがあり、UV相当の波長を反射させるようにしたものが、今回使用しているピカサスになります。
▶東レのピカサスUVのリリースはこちら
実のところ、ブルーライトに相当する波長を反射するタイプもあり、それについては当社の一部の製品ですでに使用していました。UVの波長をカットすることで、実のところ、UVの隣の波長にいるブルーライトも40%程度のカットをしています。詳しい構造としては、以下のイラストのようにガラスの裏面にこのピカサスフィルムを貼り合わせています。
太陽光からのUVは外側に反射し、ディスプレイから発せられるブルーライトは携帯側に反射をして目を守るガラスということになります。
1日でも早くガラスで守って欲しい
iPhoneを購入したら1日でも早くこのUVカットシリーズのガラスを貼っていただくことが劣化を防ぐ第一歩です。是非ともiPhoneを外で使うときに、思い出していただければと思います。注意点として、UVで著しく劣化するのは、OLED(有機ELディスプレイ)になります。これは、iPhoneシリーズの中では
・iPhone X
・iPhone XS
・iPhone XS Max
・iPhone 11 Pro
・iPhone 11 Pro Max
の5型番だけです(2019年9月現在)。その他のiPhone 8や iPhone XR、iPhone 11、iPadなどはLCD(液晶ディスプレイ)という方式になり、UVによる劣化はそれほど発生しないため、必要ありませんので、ご心配なさらず。
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このブログを書いたスタッフ
開発
ようへい
開発、生産工程に関わる。家具メーカーのセールス時代に星川と出会い、意気投合してトリニティに転職。製品開発で中国に何度も通ううちに辛い食べ物に覚醒。隙があれば食べ物にハバネロソースをかけてしまうため、周囲から嫌がられている。
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