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2021.10.28
みなさんこんにちは。企画開発のkankanです。
前回と前々回でiPhone 12シリーズとiPhone 13シリーズの外観の違いについて書かせていただきました。
今回はiPhone 13シリーズの外観から見るケース設計、その中でクリアケースの設計の話をご紹介したいと思います。
まず私がiPhone 13シリーズの情報を精査して形状がわかってきたときに、最初に思ったことは『これやばくね…? 』です。確かに一般的にはiPhone 12シリーズとiPhone 13シリーズでは、大きな外観の変更はカメラ以外はそこまでありませんでした。
ただ、このカメラが最大の難所です。
サイズはともかく、かなり厚みが増えてます…。特にiPhone 13 Proは厚みが約2倍になっています。
私たちがケースを設計するときにカメラのサイズと厚みはとても重要です。なぜならSimplismのケースは必ずカメラよりケースを高く設計しているからです。カメラ側を背にしてテーブルなどに置いたときにカメラが傷つかないようにケースがカメラより厚くなる設計をしています。
iPhone 13シリーズの形状に関して、正直『どうやって設計するんだ…』という気持ちでした。
▼フルクリアケースの役割
最近クリアケースでも側面に色がついていて背面がクリアなものや、クリアケースでも一部色がついていて(去年のiPhone 12シリーズの [Turtle Premium] とか)あえて存在を主張するデザインもありますが、完全なクリアケースに関しては一貫して要素の削除を意識しています。
透明ケースを使いたい人の心理は、もちろんしっかり端末を守るというのが前提ですが、ケースの機能は一旦置いておいて、見た目に関しては極力シンプルで主張がないものが欲しい、と思っていると考えているからです。
ですので可能な限りiPhoneの要素を壊したくないというのが、私がフルクリアケースを設計する上での信念です。
ここでいうクリアケースのデザイン的要素でいえば、端末の縦横、角のR(丸みのある部分の半径)、カメラ関係のラインなど端末にあるラインを阻害しないようにこれまで設計してきました。
ただ今回は、カメラ分の厚みをどう稼ぐか、これが非常に難しい設計になりました。
▼ハイブリッドケース【Turtle】の問題
今年のSimplismのフルクリアケースは、シリーズとして [Turtle]、 [Turtle Grip] 、[GLASSICA] の3シリーズがあります。
GLASSICAは、埃侵入防止用のリングがカメラホールについており、このTPUを厚くすることで、余計なラインを増やさずカメラを守ることができます。
しかしTurtle系のシリーズは、[Turtle Premium]が今年のラインナップから無くなったため、リングがついておりません。この場合どうやってカメラを守るか課題でした。
一番簡単な方法は、TPUをカメラ周りまでレイアウトして、背面のハード素材を逆L字にレイアウトすることです。
確かにこのように設計すれば解決はできます。しかし、逆L字にすることでカメラ周りに余計な要素ができてしまい、私のクリアケースの信念とは違う設計になってしまいます。
そこで私は周囲を厚くする方法を模索しました。これはそれほど簡単ではなく、単純にただ飛び出させると手に持った時に段差があることで触感に違和感が出てしまいます。
背面の厚みとエッジの形状を、3Dプリンターで何度もサンプルを作り、持った時に違和感が最小限に抑えられるよう何度も検証しました。
いかがでしょうか? カメラ周りに何もないことで、非常にシンプルな形状に仕上げてあります。
他のメーカーと比較しても非常にシンプルな作りになっていると思います。
また周囲を飛び出させたことにより、机の上に置いてもガタガタしません。カメラだけ飛び出す形状はどうしても机に置くとガタガタしてしまいます。さらにこの飛び出しがエッジ(フチ)からの衝撃吸収にも役立っており、こういった細かな設計でMIL-STG-810Gの落下試験にも準拠した高い衝撃吸収性能を実現しております。
▼フルクリアではない、 [GRAV] 衝撃吸収 ハイブリッドケース
こちらは前述の[Turtle]や[GLASSICA]とは違い、存在を主張するデザイン要素を入れ込んでいます。
TPU部分をあえてカメラ部分まで回して、色がついたときにカメラ周りの立体がハードな印象を受けるようにデザインしています。
それ以外にも4つの角の立体や、マナーボタンの立体、電源ボタンの立体パターンなど、あえてiPhone本体にはない意匠を盛り込みつつ、iPhoneの形状からは破綻しないようなラインを意識してデザインすることで、iPhoneとのデザインと調和したタフネスデザインに仕上がっています。
▼Simplismのケースはカメラの厚みより高い設計がされています(※一部例外あり)
いかがでしたでしょうか?それぞれのケースにはそれぞれのデザインコンセプトが必ずあります。
毎年毎年このカメラ部分の設計に頭を悩ませていますが、今年もよくまとまったと思っております。
たかがクリアケース、されどクリアケース。Simplismのケースは基本すべてカメラより壁を高くする設計をしています。ただ [AIR-REAL] 超極薄軽量ケースだけは最薄を目指した結果、カメラだけ出っ張らせると非常に不格好になるため、カメラより低い位置のカメラホールになっています。
ではでは、次回こそサウンドホーンについてご紹介したいと思います…!!
それでは!ビバ!iPhoneライフを!
企画開発カンカンのケース選びに役立つシリーズ
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このブログを書いたスタッフ
開発
カンカン
デザイン事務所でプロダクトデザインをしていたが、主にスタイリング中心だったため、企画の立案からデザイン、生産販売まで「モノとコト」のすべてに関わりたくトリニティに入社。企画開発チーム所属だが、自分の名刺だけ"商品企画開発デザイン"と、"デザイン"が追加されているのは内緒です。
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