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IT企業のレイオフ(解雇)はアメリカと日本の意識の違いがある

2022.11.19

Photo by Brett Jordan

日々ニュースを賑わせているイーロン・マスク氏によるTwitterの改革。AmazonやMetaなども大きく人員を削減するということを発表しています。Appleも採用には慎重になるというティム・クック氏のコメントもあるようです。

何万人もの人を雇用している大企業と20名ほどの零細企業ではまったく環境が異なるものの、ニュースを眺めながら違和感を感じています。日本の企業はレイオフ(解雇)を断行するのは最後の最後であるという認識があります。これは法律的な部分も絡んでくるので、文化の問題だけではないとは思います。しかし、企業もしくは経営者と社員の関係性の意識の違いも大きくあるのかなと思っています。

雇用の流動性というのは日本でも課題だと言われています。一度企業が雇用してしまうと、法律に縛られて仕事の適性や成果とは無関係に簡単に解雇することができないため、生産性が高まらないというような主旨です。逆に、アメリカは雇用の流動性が高く昨今のようにニュースで騒がれるようなときでなくても、日常的にコスト調整の一環としてレイオフが行なわれています。

どちらにも一長一短があると思います。

私は日本で生まれ育って、日本の企業を見て、日本で企業を運営しているという経緯からすると、日本のシステムは決して悪いことばかりではないと思っています。

私も含めて、多くの日本の経営者は従業員は家族、もしくは仲間という意識があり、業績が悪くなっても本当に切羽詰まるまでは解雇を決断することはありません。私も17年会社を運営してきて、たまたま業績が悪くないということもあるのですが、業績を理由に解雇を検討することは一度たりともありませんでした。

Twitterを買収して大鉈を振るっているイーロン・マスク氏を見ていると、Twitterというサービスは社員が作り上げてきたものだと思っていないように感じます。もちろん、長年の雇用の中でマッチしてないのに居残り続けている社員もいるかもしれませんし、生産性が著しく低い人もいるのかもしれません。ただ、買収した後にたった数日でそれを「正しく」ジャッジすることって本当にできるのかなと思ったりします。

また、今までが良くなかったのはその社員の責任ではなく、マネージメントの問題ということもいえます。であれば、今が悪いとしても、その課題を提示し、解決を促し、それが成されなければ別の道を歩んでもらうという選択肢もあるのではないかと思います。

買収していきなり社員の大半を解雇するというようなことが、残る社員にとっても良い影響を及ぼすようには思えません。自分もそのうち突然システムにアクセスできなくなって解雇を言い渡される時が来るのかと思いながら、ロイヤリティを高く持って仕事をし続けられるでしょうか。

Photo by Hunters Race

もうひとつ、アメリカの企業のレイオフを見ていて違和感があるのは、経営者の報酬が高すぎるということです。レイオフしてコスト削減を目指すならば、まずは自分の報酬を削るべきなのではないかと思います。アメリカの経営者の報酬は桁違いで、それを半分にするだけで相当数の社員の雇用を維持することができますし、コストダウンの効果により業績も好転するようになります。業績が悪くなる1番の責任は社員ではなくて経営者にあります。CEOというのは最高経営責任者なのですから、その人がまず責任を取るべきだと思うわけです。経営者が身を切ってから、どうしようもなく社員の雇用に手をつけるという順番であれば納得感があるのではないかと思います。

ちなみに、トリニティでも不文律ながら赤字決算をした翌期には必ずV字回復させるという意味を込めて、役員報酬を半分にするという取り決めにしています。実際に17年の中で1回だけ赤字決算をしたことがあるので、その翌期には役員報酬を半分にして黒字回復させました。

ただ、これは日本的な考え方で、逆に社員側も会社や経営者と仲間とは思っていない場合が多いようですし、ましてや家族とまで思うのは一定規模の企業であればほぼないようです。お互いにドライにやることと、報酬をきめたら、それ以上は踏み込まないというような文化なのだということです。社員側も特にロイヤリティはないので、条件が良ければ新しい職場にどんどん移っていくのが海外では多いようです。

ただ、そうすると社員である必要性はどこにあるのかなと思ったりします。アルバイトや派遣社員というのと変わらないのではないでしょうか。言われたことをやる、以外に、会社全体、チーム、プロジェクトを見て、言われてないけれどもより良い提案、新しいアイディアを出せるというのが社員としての役割ではないかと思っています。海外だと、それはその役割の社員を別途用意するということなのでしょうか。

Photo by Alva Pratt

日本的な考えを書きましたが、日本では大半がこのシステムで世界3位の経済規模を誇っているわけですから、この仕組みが決して間違っているわけではないと思います。アメリカに倣え、だと悪いところばかり担ってしまう可能性があるので、今後の企業運営については慎重に考える必要があると思います。

イーロン・マスク氏は一昔前のAppleのCMにあった「クレイジーな人」であることは間違いないですね。テスラにせよスペースXにせよ、ムーンショットを決めてきているので、Twitterもうまく立て直すことができるのかもしれません。これからに注目したいと思います。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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