- 9月
- 2024年10月
2017.05.13
NuAnsのデビューの時に、いろいろな切り口で「新しい回答」を提示できたと思っています。そのひとつが、その佇まい、それを提供する素材だと思います。前回もご紹介したように「ニュアンスのある生活」とは、これまでのテクノロジーを中心としたガジェットの世界に、リラックスした空間のインテリアなどの要素を取り込むことです。
いわゆるガジェットのようなプラスチックでピカピカしているような製品やビニール皮膜のケーブルなどが溢れかえっている中、もっと、インテリアに馴染むような素材感を提案していきたいというのが「ニュアンスのある生活」の第一歩だと考えました。そのような製品が溢れているのには理由があって、ひとつめはコンピューターの延長線上でコンピューター周辺機器メーカーが作っていたということ。外付けのハードディスクやUSBハブのようなイメージです。もうひとつはその方が作りやすく、大量生産してコストを下げやすいからです。
しかし、「ニュアンスのある生活」を実現していくのに、コストだけで考えていては新しい提案をしていくことができません。コストパフォーマンスは忘れないながらも、これまでとは違ったものを作っていくことを考えました。
たとえばポータブルバッテリーを作りたいと考えた時に、その大部分を占める表面素材は何が良いのだろうか。いつも手で触れるものだから、もっと質感のあるものにしていきたい。さまざまな素材を検討しているうちに、フェルト素材が浮かび上がってきました。インテリアや雑貨ではよく使われる素材ではあるものの、扱いが難しいためチャレンジではありました。また、微妙な質感や小さな場所にも使っていけるものを市場から調達するのは難しいので、広大なサイズのフェルトをオリジナルで作る必要がありました。それでも、シリーズを通して使っていけば良いのではないかということでフェルトを採用してみることにしました。
「たとえばバッテリーは熱を持ちますが、それに適したフェルトが無かったんです。他にも、プラスチックとの接着、水をはじくか、汚れに強いか、通電する製品が多いので難燃性は必須、といった部分をチェックしていくと、結局、オリジナルで作るしかなかったんです」
NuAnsのブランドストーリーの中でもエピソードがありますので、もしよろしければご覧ください。
ケーブルを作る際には伸縮性や曲がっても強度を保つ必要があるために、どうしても使える素材が限られます。その中でも、ビニール皮膜ではなくエラストマー素材を使い、表面にテクスチャー加工を施すことでそこに質感を与えています。この加工は非常に微細で、中国工場で何度も施策をしたけれども思ったとおりにいかず、日本の会社に金型を預けて加工してもらうということをして実現しています。
アルミやプラスチックも絶対に使わないというわけにもいかないので、その仕上げにはとてもこだわりました。基本的にはピカピカで主張していくのではなく、マットな仕上げで静かな存在であるということを考えています。コーティングでサラサラにして滑らかな手触りを提供したり、シボと呼ばれる微細な凹凸を付けることで傷に強く、光を拡散させるのでマットな質感を提供してくれます。
やはり、フェルトがひとつ大きな特長としてNuAnsブランドに存在していて、展示会などでも来場者が必ずと言って良いほど手を伸ばして触感を確かめるほどです。触ってみたい製品というのは、これまでのガジェットにはなかったのではないでしょうか。
★
[All About NuAnsバックナンバー]
・Vol.1 はじめの一歩
・Vol.2 はじまりのはじまり
・Vol.3 TENTとの出会い
・Vol.4 クリエイティブユニットTENT
・Vol.5 TENTとトリニティ、そしてNuAns
・Vol.6 NuAnsというブランド名に込められた想い
・Vol.7 基本のコンセプトは「ニュアンスのある生活」を提供すること
・Vol.8 これまでにないニュアンスを提供するために【素材編】
・Vol.9 新しい回答は、ケーブルとの戦い。
・Vol.10 NuAnsの最初の製品「MAGDOT」は一番シンプルなケーブルホルダー
・Vol.11 デバイスたちの居場所を定義する、「MAGMAT」と「MAGFIT」
・Vol.12 ケーブルを再発明。すべてを再設計したケーブル「BANDWIRE」
・Vol.13 最高の使い勝手と心地よい手触り、インテリアとも馴染むモバイルバッテリー「TAGPLATE」
・Vol.14 これまでにはなかった、まったく新しいスタイルのモバイルバッテリー「ROLLDOCK」
あわせて読みたい
このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
コメントを投稿
ログイン
登録
他のサービスIDでログイン
Log in with Facebook Log in with Twitter Log in with Googleログインせずに投稿する場合には名前とメールアドレスを入力してください。
管理者の承認後、コメントが表示されます。