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TRILOGトリログ

新しくなったイヤフォンの音質を試す

2006.09.18

前職の私を知っている方は「なにをいまさら」と思われるかもしれませんが、私は割と「音キチ」です。音キチというのはあまり最近では言われなくなったようですが「音のキチガイ」の略で、今では「オーディオマニア」やもっと格好良く「オーディオファイル(ファイルはfileではなくてphile)」と呼ばれる人たちのことです。簡単に言えばオーディオをこよなく愛しているのです。これ、音楽と言わないところがミソです。もちろん、音楽も好きなのですが、「音」そのものを聴くのもひとつの楽しみといえます。

さて、今回新しいiPodシリーズが発表されましたが、外観やサービスなどに話題が集中してまだあまり取り上げられていないのがイヤフォンの刷新です。iPodシリーズの白いイヤフォンは、それをすることがすなわちiPodユーザーである証として、海外ではそれを目印にひったくり事件が起きるくらいの象徴的な存在でもあります。iPodユーザーでもイヤフォンはそのまま純正のものを使い続けている人もたくさんいると思いますので、今回の刷新がどのように影響を与えるか、音楽を楽しむという行為を構築するための重要なファクターのひとつとして少しチェックしてみたいと思います。

まずスペックですが、以前のイヤフォンは「仕様」の欄に「インナーイヤー型ヘッドフォン(ネオジウム製トランスデューサーマグネットによる直径18mmのドライバーを使用), 周波数特性: 20Hz〜20,000Hz, インピーダンス: 32Ω」という記述があるのですが、現在は「イヤフォン, 周波数特性: 20Hz〜20,000Hz, インピーダンス: 32Ω」としか記載されていません。

earphones01.jpg

上が旧タイプのイヤフォンで、下が新タイプです。見ていただくと一目瞭然ですが、イヤフォンの口径は小さくなっています。難しい話をここでするつもりはありませんが、ごく一般論として簡単に言えば、口径が大きいほど低音の再生に優れ、小さいほど高音の再生に優れているといえます。最近はこの常識を覆すものもたくさん現われているので一概には言えないのですが、一般論としてはこうなります。これは低音ほどより多くの力で空気を振動させる必要があり大きな口径の方が再生しやすく、高音をキレイに再生するためにはすばやい動きが必要とされ小さな口径の方が優れているからです。象は大きいのでドーン(低音のイメージ)という感じで、小鳥は小さいのでピーチク(高音のイメージ)というのを思い浮かべてもらうとわかるかもしれません。花火でも大きく広がる花火はドーンとなり、小さいのはパチパチという感じになりますよね。

さて、うんちくはこれくらいにして、実際の再生音を聴いてみましょう。今回は先日手に入れたiPod nano 8GBで聞き比べをしてみました。ソースはそれぞれAIFF(非圧縮)の音声ファイルです。

smappies.jpg

アーティスト:Smappies
アルバム:Smappies II
タイトル:Slave Of Groove (Ki Ni Naru)

この曲は私がいつもサウンドチェックをするときに使用するもので、ビッグバンドの高域から低域までしっかりとしたフルレンジの音域を持ち、特にベースのドライブ感がどれくらい出せるかというところがチェックのポイントです。

比較:新旧両者のサイズをそのまま反映したかのような音質の差が現われ、旧タイプは低域に重きを置き、新タイプは中高域にメリハリがある音質でした。コーラスだけでボーカルがないために中域の感触はそれほど深く掴みきれませんでした。

jkt.jpg

アーティスト:Ponta BOX Meets Yoshida Minako
アルバム:Gosh
タイトル:Seven Steps To Heaven

比較:ドラムスの細かなタッチからキックのドッドッという低域、張りのあるボーカルと空気感をどれくらい出せるかがチェックのポイントです。中域のスネアの音などにはあまり差は感じられませんでしたが、シンバルや空気感は新タイプの方がより自然に再生していると思いました。またキックの低域に関しても、旧タイプが低域が得意と言いつつも、重低音を出せるわけではなく、それほどの差を感じませんでした。旧タイプのヘッドフォンのチューニングは100Hz付近のみをターゲットにしていると思われ、キックよりもベースを中心にした音作りの場合に音圧を感じるようになっているのだと思います。

geisha.jpg

アーティスト:GEISHA GIRLS
アルバム:GEISHA “Remix” GIRLS
タイトル:”Kick And Loud”

かなり古い曲ですが、イントロのループのベースとキックのブーンブーンいっている感じをしっかりと出し、ラップをしっかりと際だたせられるかがチェックのポイントです。

比較:このようなハウス・HipHop系の曲は旧タイプの方に軍配が上がるのかもしれません。ただし、高域の抜けが悪いので「もこもこ」感は拭えません。新タイプだと音圧感が少ないのでこの手の曲では音楽にノる感じではないかもしれません。

misia.jpg

アーティスト:Misia
アルバム:Kiss in the Sky
タイトル:果てなく続くストーリー

イントロのピアノとボーカルだけの弾き語り調部分ではレンジは狭いながらもボーカルの広い声域を余すことなく映しだし、サビ以降のバンドが入ってくるところでは音場の拡がりを感じさせてくれる空気感と奥行き感をどう再生するかがチェックのポイントです。この曲は間違いなく新タイプの得意とする分野で、ボーカルをしっかりと前に出しつつ後ろのストリングスもキレイに奏でています。旧タイプはどうしても高域の伸びがないのでストリングスも引っ込みがちになり、奥行き感を演出できません。

mrbig.jpg

アーティスト:Mr.Big
アルバム:Bump Ahead
タイトル:Mr.Big

最後はハードロックの王道とも言うべき曲で、イントロのパワー感のあるドラムスのイントロを音圧をガツンと感じさせながら、中盤のギターやベースソロをしっかりと前に出してこられるか、全体にダイナミックレンジの小さい常に音圧レベルを稼いでいるタイプの曲です。これは両者とも難しい曲で、旧タイプはキックの音圧はあるものの、輪郭が薄くなってしまっており、シンバルの響きも弱いのです。新タイプは逆に輪郭はあるのですが音圧感に乏しい感じでハードロックというジャンルには向かないかもしれません。

ここまで聴いてみるとだいたい、「旧タイプは低域の再生に優れているが、特に高域の再生に弱くボーカルの空気感や輪郭が出にくい。ロックやHipHopなどの音圧を稼ぐタイプの音楽に向いている」と言え、逆に「旧タイプは中高域の伸びが良く、ボーカルやストリングスなどの空気感を演出できるが、低域の重量感はないためベースやキックの再生に弱い」という感じになります。これはまさにサイズの比較のところでお話ししたような結果になったというわけです。

新モデルの方がより万人向けで、ポップスや歌謡曲に向いていると思います。また、特に高い年齢層では高域の聴き取りに難が出てきますので、今までよりも「抜けの良い」音質が良いと思われます。より多くの年齢層を意識した音作りにしたというところなのでしょうか。

なお、もうひとつ重要なファクターとして、新タイプは口径が小さくなったことにより、特に日本人の耳にはフィットするようになったのではないでしょうか? 女性はもとより、アメリカ人の耳よりは総じて小さな耳をしているので、耳にはめづらい、長時間していると耳が痛くなるなどの苦情はなくなるのではないかと思います。

ただし、これは諸刃の剣で、私の耳には少し小さめになってしまって、逆に動いたりすると位置がずれてしまうことがしばしばありました。イヤフォンの位置がずれるということは音の指向を外してしまうわけで、良い音の再生ができなくなってしまいます。実際、ずれた状態で聴いてみると、明らかに低域の量感が減り、音が遠くに行くようなイメージを抱いてしまいます。

少し長くなってしまいましたので今回はこれくらいでまとめたいと思いますが、最後に私が普段使っているイヤフォンを含めての比較をしてみました。

earphones02.jpg

詳細は別の機会に書きたいと思いますが、明らかな音質差に改めて驚かされました。低域の量感はもちろんのこと、それでいながら透き通るような高域を再生してくれるのです。タネを明かしてしまえば、このイヤフォンは日本で購入すると24,800円もするのです…。勝負する方がズルいですよね(笑)。まぁ、この「自慢」はまたいつか…。
P.S.
「密林」でジャケットを探したところ、なぜかPONTA BOXとGISHA GIRLSだけが画像が小さく掲載されていましたので、ちょっと変な感じになってしまったのですが、探す時間もなかったのでこれでお許しを。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「 Simplism 」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は24時間365日のウェアラブルデバイス「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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