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- 2024年10月
マニフェストに書いてあったところも、書いてなかったところも結局のところは消費税を増税することには賛成で、単なる政局として賛成できるできないという分かれ方のようで、近い将来消費税率が上がるのは(残念ながら)必至のようです。ここでは消費増税の賛否は置いておくとして、中小企業として消費税増税に対して一番懸念していることを書いておきたいと思います。
消費税は商品やサービスなどを購入する際に付加する税金のため、消費税率が変動しても商品自体の価格は変わらずに、商品に対する消費税額だけが上がるというのが基本的な仕組みとなりますが、2004年4月から実施されている「総額表示の義務化」が問題となってきます。
たとえば、当社で販売している製品でiPod nano用シリコンケースセットがありますが、こちらは店頭では980円で販売されています。厳密にいうと、消費者が支払いをするのは980円ですが、これは商品としては933円で消費税5%が47円という内訳になります。これは最終的に消費者がいくらを支払うことになるのかを明確にするという意味で実施されている方式ですが、これにより商品の価格が税込として認識されるため、税率が変わった際には大きな問題を引き起こします。
現在政府が検討している案では2014年4月に8%、2015年10月に10%ということになっています。では、仮に8%になったことを考えてみましょう。
前述の商品は933円が商品価格でしたが、これが8%になると消費税額は75円となりますので総額表示では1,008円となります。このデフレの世の中、そして競争が激しい家電量販店の中で、特に価格支配力の少ない私たちのような零細企業がこの価格を受け入れてもらえるでしょうか。現実には980円のまま販売を続けざるを得ない状況は容易に想像がつきます。つまり、商品自体を907円に値下げをし、消費税8%をかけた状態で980円になるように調整せざるを得ないわけです。
これが10%になった場合では、890円にまで値下げをしなければ980円に据え置くことができないのです。これが私たちのように薄利多売の量販店の世界で生きている身にとってどれだけ辛いことかお分かりになることでしょう。私たちは毎年、新製品を出す際に付加価値を付けて価格の下落を防ぐために最大限の努力をしていますが、それをしてでも、実質的に値下げをせざるを得ない状況に陥る訳です。
また、この短期間に2回も上げることもとても問題であると思います。このたった14ヶ月の間に2回も変更をしなければならないのは、システムの変更が非常に煩雑になり手間が増えてしまう(=コストが上がる)ことを意味します。ただでさえ商品価格を強制的に下げさせられ収益を減らされるのに、それに追い打ちをかけるように変更の手間もあるのではまさに踏んだり蹴ったりです。
かといって、段階を設けずに一気に10%に引き上げて欲しいという意味ではありませんので悪しからず。個人的には消費税以外の方法で財政を再建する必要があると考えていますが、その点については別の機会にまとめたいと思いますが、なにせ、消費税増税は一般消費者の購買意欲を削ぎ経済を低迷させるという一般的な話だけでは無く、この例のように中小企業を不幸にするということも頭の片隅に置いておいていただきたくエントリーを書いてみました。どうしても避けられないのであれば、是非とも総額表示の義務化を止めていただきたいところです。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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