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失敗は成長の素。weara開発中止とこれから。

2021.12.30

weara発表会での展示。これだけの美しいバンドデザインやオプションを取り揃えて、ファッションとテクノロジーの融合を図りたかったのです。

私がweara(ウェアラ)の構想をメモし始めたのは、当時メインで使用していたドキュメントシステム「Evernote」の履歴を見ると2017年2月のことでした。NuAns NEO [Reloaded]の発売から少し時間が経ち、発売後のいろいろなアフターフォローもひと段落してきた頃です。その次のステップとして何を手がけていこうかと考えたときに、ウェアラブル製品を作りたいと考え始めていました。その時には「ライフログリストバンド」という名称にしていました。

wearaのストーリーについてはまたいつか別の記事でゆっくりと書きたいと思います。ただ、ニュースでも告知した通り、wearaについてはいったん今の形での開発は中止することとしました。経緯などはリンク先に記載しましたが、このトリログではもう少し踏み込んで書いてみたいと思います。

これから書くことは、私から見た失敗の経緯や原因と思われることであり、実際にはそれぞれの要素に関わった人たちからすると違うことがあるかもしれません。また、結果として失敗したのは責任者である私がすべてを背負うことですので、どんな理由であろうと私の責任であることには変わりがありません。ある意味、言い訳を書いているように思われるかもしれませんし、実際そういうことでもあります。

ただ、上記の報告でも最後に書いている「wearaの未来」のためにも、そして期待してくださったみなさまのためにも、このトリログではもう少し掘り下げて書いてみようと思います。

ウェアラブル製品開発は、思っていた以上に困難だった。

前述のように、この前に2世代のスマートフォン(Windows 10 MobileとAndroid)を開発し、少人数での開発ながらも世の中にはない製品をリリースすることができていました。

キャリアから発売されていないSIMフリースマートフォンとしては初めておサイフケータイ対応となったNuAns NEO [Reloaded]。

スマートフォン開発と大きく違うのは、スマートフォンはWindows 10 MobileにせよAndroidにせよ、MicrosoftとGoogleが開発したものを搭載し、前者は我々がほとんどカスタマイズできる余地はなく、ハードウェアとファームウェアの開発に専念することができたということです。後者は我々に開発能力がないことを逆手に取って当時はカスタマイズだらけだったところから、素に近いAndroidを搭載することをうたい文句として企画したため、ほとんどOS自体に対して開発を行なうことはありませんでした。

ウェアラブル製品であるwearaはいわゆるOSというものは表に出てくることはなく、ハードウェアとファームウェアは一体で開発し、アプリはスマートフォン上で動作するものとして作りますので、ある意味1からすべてを作る必要がありました。

これが想像以上に大変で、私ができると思っていたことができないことがあったり、できるはずのスケジュールが守られなかったり、何度もやり直したりと、私の経験不足もあってその困難さを予想し切れなかったのが大きな敗因のひとつです。

シンプルに日々のバイタルや活動、睡眠を記録し、そこから見えるライフスタイルに改善提案をできるようなデバイスであり、身につけていることがファッションになるような製品を目指していました。

納得できる仕上がりと精度を出すことができなかったハードウェアとファームウェア。

ハードウェアとファームウェアは中国のODM(開発委託)会社に仕様を伝え、それを実現してもらうように開発を委託して進めました。一つ一つの動作について、細かく指示を出し、ミーティングも長い時間を費やして行なった上で、開発スケジュールが引かれました。

weara発表会には多くのメディアの方が時間を割いて見に来てくれました。

当然、発表会のかなり前にはプロトタイプができ、微調整を重ねた上で発表会を迎え、最後に一部の人に使ってもらうベータテストを実施して仕上げるつもりでした。しかし、発表会後にベータテストをするはずだったハードウェア・ファームウェアは、ベータ版という仕上がりではまったくない状態でした。それでも、修正することとスケジュールが明確であれば進められると思っていました。

weara初期のデザイン確認モックアップ。プロダクトデザインは初期の頃からまったく変わっていません。

「いつまでに何を直す」ということを約束しながらも、そのたびに問題が発生してしまい、ズルズルと延期されていき、仕上がりも満足な状態にならない日々が続きました。私も2019年10月にwearaを発表して以降、かなりの頻度で中国に行き、長期間滞在し、日々問題を解決するために時間を割きました。ただ、私が直接的に何かを解決することができるわけではなく、相手のエンジニアがうまくいくはずだということで待っていたらうまくいかなかったということに対して、なかなか次の改善を待つ以外に有効な手立てがありませんでした。

サンプルを作る中国工場の現場。

ここは私自身がハードウェアもメカニカルなところも、エレクトロニクスも素人であるということがネックになってしまっていました。

また、ウェアラブル機器として測定する身体情報などについての精度も、私が専門家の方と協議したり、精度を担保するための比較機器との一致率によるスタンダードに達することができませんでした。契約時にはその精度については合意していたものの、最終的には測定自体はできる、細かい精度にこだわりすぎない方が良い、など中国の会社とのスタンスの違いが出てきてしまいました。

ただ、それを乗り越えてなんとかしていこう、というところまでいったところで新型コロナウィルス感染症が始まってしまいました。

中国工場は通常の開発をストップし、マスクなどの新型コロナウイルス感染症向けビジネスに走りました。たとえば、wearaでも当初から搭載していた体表温計機能を製品として売り出したりしていました。正直なところ、その製品は私からするとかなり怪しい測定結果を出すものなのですが、そんなことはあまり関係ないらしく、いろいろな国で大量の受注をしたということでそちらに注力するようになっていきました。waeraは簡単に作れるものではなく、かつ精度についてもうるさいのに、発注台数が少ないということで優先度が下がってしまいました。

2年間、中国に出張に行くことはできていません。

それでも、現地に行くことができていれば進めることはできたと思います。ただ、上記の記事の2020年旧正月前に帰国して以降、中国に行くことはできなくなってしまいました。

結果として、外装も何度も金型を作り直したのにも関わらず満足いくクォリティにならず、メカニカル・エレクトロニクスは仕上がっていたものの、ファームウェアによる調整が終わらないという状態になって、時間だけが過ぎていってしまい、考え方の違いというのも鮮明になってきてしまい、最終的に中国の開発会社とリリースまで持ち込むのは不可能と判断せざるを得ませんでした。

動作しないwearaモックアップ。どうしても仕上げが納得いく形にならず、金型を2回も作り直しました。

初めての本格的なアプリ開発に失敗。

これまで、ハードウェアと組み合わせて使用する小さなアプリ開発は行なったことがありました。今回はiOS/Androidの両プラットフォームとクラウドサーバーを開発するのに、予想以上の時間がかかり、問題がたくさん発生し、それを満足いく形で進めてリリースに導くことができませんでした。

当社はコアビジネスであるスマートフォン向けケースや保護フィルム・ガラスなどは社内で設計やプロダクトデザインなども行なっていますが、それ以外、特に私が関わっている新規の製品についてはプロダクトデザインから開発までのほとんどを外部委託しています。格好良く言えば、オープンイノベーションです。私や社内スタッフが企画や仕様決め、進行などは行ない、アプリデザインや要件定義、仕様書作成、開発などは外部に委託しています。

常にこれらの開発が並行して進んでいる、今後も多く手がけていくプロジェクトがすでに存在しているということであれば社内にリソースを持った方が良いとも言えますが、新規プロジェクトで必ず成功して継続することが約束されていない場合には、これらのリソースが無駄になってしまうこともあります。社員として入社してくれた方々にも迷惑をかけてしまうことになります。

また、オープンイノベーションの趣旨のとおり「餅は餅屋」という形で、それらを得意としている人たちにお願いする方が良いという考え方でもあります。

プロモーションビデオの制作もいろいろな方にご協力をいただきました。

しかし、今回はその外部開発の進行がよく見えずに、スケジュールを何度も延期されたり、できるはずだったことができていなかったり、実際にテストをしたら問題があったりと、結局のところは前述のようなハードウェアと同じ状態に陥ってしまいました。

当初はフリーランスを束ねる形での開発体制でしたが、フリーランスなので途中で都合が悪くなったら離脱することもあり、人が入れ替わることが頻繁に起こり、その後に会社形態に変えたものの、こちらが望む形に落とし込まれることがありませんでした。

ハードウェアと同じですが、私自身がエンジニアではないことで奥深くまで入り込むことができなかったのが敗因です。

また、アプリはハードウェアと密接な関係にあるのに、日本側と中国側の意識の乖離や、理解の違いなどもあって、データを正しくやりとりできなかったり、いつの間にかハードウェア側の仕様が変わっていてアプリに問題が発生するなども一歩進んで2歩下がるようなことを引き起こしていました。

失敗は成長の素。失敗を活かして、次に繋げる。

ここまで書いてきたことは、ほとんどが私の知識不足、経験不足によって全体をマネージメントできなかったことに原因があります。問題点としては受け止め、それを今後に活かすために新体制を作り、1から出直すことにします。

SAVE THE WORLDというのは壮大すぎるスローガンですが、人々をより健康にしていくことができたら、その言葉も嘘ではなくなります。

これまで多額の投資をしつつも、リリースをしないという選択をしたため、1円も収入がないということが確定してしまいました。当社のような零細企業に毛が生えたような会社では、収入の見込めない投資はできません。スマートフォンの時も、wearaのすべての開発費用も、すべて自己資金でやっているからです。

それでも、wearaの理念はいまだに世の中に必要であり、世界を救うことができると信じているので、再び挑戦をすることを決めました。だからこそ、終わりのない開発をいったんしっかりと区切りをつけて、出直すということにも繋がってくるのです。

これまでの失敗から学び、その経験を活かし、新しいものを作り上げる。その新たな挑戦はすでに始まっています。「失敗は成功の素」というほど成功が見えているわけではありませんが、私自身、wearaプロジェクトも含めて成長していきますので、今のところは「失敗は成長の素」という状態です。それが結果として成功に繋がるとは思っています。

weara発表会用に用意したオリジナルコースター。

2021年が終わる前に区切りはつけておきたかったということもあり、年末の発表となってしまいましたが、weara開発中止のニュースはいくつかのメディアに取り上げていただきました。開発を中止すること自体を取り上げてもらえるというのはとてもありがたいことです。ただ、発表会までしたのにリリースできなかったというのは、本当に苦しいことでした。次回は、このような失態を犯さないようにしたいと思います。

応援してくださったみなさま、ありがとうございます。まだ、諦めていないので試合終了ではありません。引き続きご期待いただければと思います。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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