美術館でのスマートフォン撮影の是非

2018.08.04

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本日(8月4日)付の日経新聞朝刊での「文化往来」欄に「美術館でスマホ撮影OK? 是非を議論」という記事が掲載されていました。

(文化往来)美術館でスマホ撮影OK? 是非を議論:日本経済新聞

来館者がスマートフォン(スマホ)で美術館内の作品を撮影することをどう捉えるか。先月、東京大学で、その是非を議論するシンポジウムが開かれた。登壇した学芸員らは作品を撮ることや交流サイト(SNS)で伝えることに熱心な来館者が増えている現状を報告し、変わりつつある鑑賞体験への対応を話し合った。

日経新聞電子版で公開されているところまで引用しておきます。私はこれまで、展示会での写真撮影禁止への疑問を呈していましたが、美術館などでの撮影禁止も解禁した方が良いのではないかと考えており、その点について議論が交わされていることにとても興味を持ちました。
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なぜ写真撮影が禁止されているのか。すぐに思いつくのは下記のような点です。

・目的から外れる

美術館において、美術品を鑑賞するのが本来の目的であるのにもかかわらず、撮影することに没頭するようになり、本来の目的から外れてしまうのではないかという懸念だと思います。これは確かにもっともなことでもあります。しかしながら、美術品はより多くの人に鑑賞してもらうことも大切だと思います。写真撮影を目的とする人が、実際にどれくらい来場するのか未知数ですが、わざわざ足を運んで、入場料を支払って、それでいて写真撮影のみを目的とする人というのは、割合は相当少ないのではないでしょうか。

・鑑賞の邪魔になる

上記とも関連する問題かと思いますが、撮影をするために美術品の前を占有したり、三脚など大きな機材を持ち込んで他の来場者の鑑賞を邪魔するという懸念もあります。これは現実的に観光名所などでも発生している問題で、三脚や一脚を禁止しているところもあります。美術館も同様に、機材を使わないスマートフォンのみの撮影を解禁するようにするのが、現時点での現実的な解ではないでしょうか。

・盗作・転載防止

盗作というのか、美術品を高画質で撮影してそれを何かしら販売したり、またはコレクション本を製作してしまうという懸念が考えられます。その点については、そのレベルで撮影するには三脚などのような機材だったり、または一眼レフの高画質なカメラが必要になってくるかと思いますので、それらを禁止にするということで回避できるのではないでしょうか。最近は、一眼レフを上回ったり、暗いところでも明るく撮れるようなスマートフォンが出てきてしまっているので、技術が上回ってしまうことがありますので、難しいところではあります。

しかしながら、美術品を撮影したものを見て、満足する人がどれくらいいるでしょうか。現実に、その場に行って、その目で見て、空気感や立体感などを感じることが鑑賞するという意味だと思います。特に立体的な造形物の場合には、写真ではその作品を味わうことができません。

では、スマートフォン撮影を解禁するとどんなメリットがあるのか。ちなみに、写真はすべて海外の美術館ですが、どこも撮影禁止ではなかったです。海外では禁止されているところが少ないような気がします(私の感覚による)。

・広く知らしめて、多くの人に鑑賞してもらうことができる

これが何よりも大きな理由であることは間違いありません。どんなに良い作品であっても、誰にも見てもらえないものは評価されません。見て、感じてもらう事が何よりも重要だと思います。また、美術館も寄付や自治体の支援で成り立っているところが多く、来場者が増えることで収入面でも期待できます。

ニュースリリースや業界紙ではきっと公告されているのだと思いますが、それでも、美術展などの催し物が広く一般に知られるには、来場者のシェアが必要なのではないでしょうか。

・思い出として残しておくことができる

スマートフォンで撮影をしてアルバムとして保存しておくことで、自分自身としても、振り返ることもできるのは大きな財産となります。

最後に、スマートフォン撮影を解禁すべきという立場から、もうひとつだけポイントがあると思います。

・シャッター音を響き渡らせない

私として、現在一番スマートフォン解禁によるデメリットはここだと思っています。静かに、来場者それぞれの楽しみ方で作品を見て回るのに、他人のシャッター音が入ってくるのは雰囲気を壊してしまい、楽しみが薄れてしまう、むしろ不快になってしまいます。

現時点においては、日本のキャリアから発売されているスマートフォンは「すべて」マナーモードなど消音のモードのしておいたとしてもシャッター音が「かなり大きな音量で」鳴り響きます。これ自体、そろそろ止めて欲しいなと思いますが、すでにスマートフォンが多くの人に使用されているということを考えると、シャッター音を出さないで撮影できるカメラアプリの使用を必須としてもらうのが良いと思います。

美術館側もWiFiを用意しておいて、無音カメラアプリが入っていない人には案内するなどしてあげると良いと思います。来場者側も、この点は理解して何かしらのアクションをしてもらうのは、それほど大きな負担にもならないと思います。

最後に我田引水しますが、NuAns NEO [Windows 10 Mobile]NuAns NEO [Reloaded]を使っていただくと、標準のカメラアプリでシャッター音を出さずに撮影することができます。

冒頭の記事にあったシンポジウムでは、宣伝効果や実際に試してみたこと、美術館の立場だけではなく作家の立場としても考えてみるなど、発展的に議論が進んでいったようで、今後の展開に期待したいところです。

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このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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