ちょうど2年前の今日、2017年6月9日にNuAns NEO [Reloaded]を発売しました。振り返ればあっという間の2年間でした。Engadgetの「今日は何の日」シリーズでも紹介してくれています。

元々は5月に発売するということをアナウンスしていたものの、「大人の事情」により発売を延期してしまったという経緯があります。2年が経過したということで、その「大人の事情」について書いてみようと思います。

一部では、おサイフケータイ関係の認証が取れていなかったのではないかという話も出ていたようですが、実際には、おサイフケータイにまつわる決済サービスを提供している各社とは5月の段階ですでに認証は終わっており、発売日ということに関していえば関係ありませんでした。

ハードウェアおよびファームウェアの開発も終わり、完璧というわけではないものの出荷する準備はすべて整っていました。実際には、発売後のアップデートもすでに準備をしていました。そして、ハードウェアは5月末の段階で日本にも入荷してきており、出荷をするだけという状態だったのです。

しかし、それなのになぜ発売日を延期したのか。

最近、米中貿易戦争の一環で、GoogleがHUAWEIに対してライセンスを供与しないというニュースが流れました。Android自体はAOSPと呼ばれるオープンソースを元に、自社端末で動作するように調整を加える方法が一般的ですので、それ自体にGoogleとのライセンス締結の必要性はありません。

しかしながら、Google Playストアを初めとしたGmailやGoogleマップなどのGoogle純正アプリをプリインストールする際には、Googleとのライセンス契約およびGoogleのラボによる検査が必要です。検査についての詳しい内容はここでは省きますが、セキュリティ面も含めてかなり厳しく検査をされるため、これ自体はGoogleが自社アプリなどをプリインストールする際に担保したいこととして妥当と考えています。

ただ、このプロセスが非常に不透明で、基本的にはすべての検査項目が開示されているわけではないので、1回で合格するということはあまりなく、指摘を受けてその部分を修正していくように進められるそうです（そうです、というのは我々は初めてのため、関係者の話によります）。

我々もNuAns NEO [Reloaded]においてこのプロセスを踏んで進めていたものの、最終段階でそれまで指摘されていなかったことが急に出てきたり、レスポンスがなくなってしまったり、と発売日が近づくにつれてかなり不透明になってきていました。

毎日、何回も確認するものの返答がなく、それでも発売日を迎えるためには国内の販売店にも出荷をして、当社からの出荷とタイミングを合わせないといけなかったりして、発売日に間に合うギリギリまで調整を続けたものの、結局のところは特に理由は分からないまま、間に合わないタイミングになっても許可がされませんでした。許可さえあればすぐに出荷できるということだったので、絶対に無理だという1日前まで引っ張ってしまったということが、発売日直前に発売日延期のアナウンスをした理由となります。

結局のところ、その後、特に修正をすることなく6月の頭になって許可が出たものの、週末も挟んでしまうという事情もあり、販売店と足並みを揃えるために6月9日になったということです。

自社でコントロールできないことがある場合には早めに諦めることも必要だったのかもしれません。期待させてしまったユーザーや、関係者の方々にはご迷惑をお掛けしてしまいました。

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それなりに時も経ったので、2年前の昔話をしてみました。あの時は事前にアナウンスをして予約までしていただいて、長い間お待たせしてしまっていた方々がたくさんいたので、なんとかやりきりたいと必死でした。そんな日々も、もう2年も前だったのかという思いです。この話は、この後のセキュリティパッチの配信にも深く関わってきますが、その話はまた機会があれば。