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トリニティでも恩恵を受けつつも、不思議な設計になっている賃上げ促進税制とは。

2022.07.23

当社は2021年度決算を先日に終え、納税を済ませました。その時の記事は下記にまとめてあります。

その際に、税額控除として「中小企業向け所得拡大促進税制」を利用して正しく節税を行ないました。制度そのものについては、詳しくは下記のウェブページを参照してください。

ここ数年の間、政府は企業に対して賃上げを促進する施策を実施して、国民の所得を増やすように促してきました。特に最近では物価高の影響もあり、賃上げの幅と物価上昇の幅でいうと後者が上回り、実質的に可処分所得が減っていく傾向にあるという、悪い状況に陥っていました。

そこで、企業に賃上げをしてもらおうという施策のひとつが「中小企業向け所得拡大促進税制」です。

中小企業向け所得拡大促進税制の概要

「所得拡大促進税制は、中小企業者等が、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を 法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。」

具体的には「雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加」すると、「控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額又は所得税額から控除」するという制度となります。

中小企業向け所得拡大促進税制ご利用ガイドブック(2021年度版)|経済産業省(PDF)」より

当社では賃金が前年度から比べて14,217,568円増加し、これは12.9%増にあたるため、この増加額の15%である2,132,635円が税額控除の額となりました。申告額が200万円ほど減るので、その分納税額も減るということになるため節税となりました。

ただ、実際問題としては節税額はわずかであり、この施策のために給料が上げたわけではなく、正しく評価指標からの報酬改訂と業績連動分配金の結果となりますので、本当にこの施策に意味があるのかは疑問があります。

給料を増額した会社に対して恩恵を与えるという意味では良いと思いますが、税制は一時的なことであり、給料はその後ずっと継続していくものなので、あまりインセンティブは働かないのではないかと思いました。

1人あたりの給料ではなく、給料総額の増加分が対象。

この施策の不思議なところは「1.5%給料を増額」というのが1人あたりではなく給料の総額であるということです。個人個人の実績があるから、1人でも評価が低い人がいて給料が減額になったら対象にならなくなってしまうということを避けられるというメリットもありますが、実際は採用が増えれば必ず上がるし、退職者が出れば必ず減るということです。

たとえば、当社では運営していたレストラン「トラットリア・トリニータ」が閉店したことにより、専門で従事していた社員が2名減りました。そうすると、今年度は新たに2名採用しない限り、給料総額の増加は見込めません。

極端な話、1人あたりの給料は減らしても、増員すると給料総額は増えますのでいわゆるワーキングプアになるようなこともあり得ます。元々は1人あたりの可処分所得を増やすのが目的だったように思いますが、ちょっと制度としてはそういうことになっていないような気がしてしまいます。

ちなみに2022年4月からは制度が少し変わり、名前も「中小企業向け賃上げ促進税制」となり、1.5%以上給料を増やしたら15%、2.5%以上増やしたらさらに15%で合計30%の税額控除を実施するとのことです。相変わらず給料総額なので、前述のような疑問は残るものの、少しずつ条件が緩和されたり税額控除が増えていっているのは、政府のどうしても賃上げして欲しいという気持ちの表れでしょうか。

中小企業向け 賃上げ促進税制の概要
「中小企業向け賃上げ促進税制は、中小企業者等が、 前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額雇 の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。」

具体的には「雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加」すると、「控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額又は所得税額から控除」し、さらに上乗せ要件として「雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加」すると「税額控除率を15%上乗せ」するという制度となります。

中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック(2022年度版)|経済産業省」より

トリニティと報酬

当社では給料というよりも、報酬という言い方をする場合が多いです。本来は雇用契約を結んでいるので給料なり給与というのでしょうが、それぞれの労働の成果に対する対価というイメージで報酬としています。

当社の場合には、老若男女、国籍問わず、公募の場合には入社時に年俸400万円で、1年経過すると427万円になるため、これだけで6.75%の増加になります。

また、その後の評価による査定ではマイナス2%からプラス6%までの幅で毎年改定していきます(変わらずというのもあります)。現実にはほとんどの場合に2%以上の増額となりますので、1.5%の増加というのは何もしなくても達成しそうです。

ただ、業績連動分配金が事態を難しくします。これは本来の意味でのボーナスという位置付けで純利益から算出しています。当然、これは毎年増減がありますし、金額でいうとそれなりの変動幅があるため、上記の増額を吹き飛ばうくらいのインパクトがあります。

トリニータの閉店により社員が減りつつ、業績連動分配金が今回最高額だったことから考えると、毎回この税制の恩恵を受けるわけにはいかないようです。本来の姿である、1人あたりのボーナスを抜いた所得を増やすという意味で計算できれば、ほとんど毎年達成することになるのですが。

本来は物価の上昇や、社員の成長に伴って報酬も上がっていくべきですが、特に物価の上昇が急激すぎて追いついていないというのが現状です。企業にとっては難しいことではありますが、マクロ経済スライドのような制度が必要なのかもしれません。社員イコール日本国民の可処分所得が減れば消費が減り経済は低迷しますので、報酬を上げて可処分所得を増やし経済を好転させるという意味では良い施策だと思います。(物価が下がったら報酬も下がるのは覚悟するしかありません)

というわけで、節税はできたものの、あんまりしっくりとこない仕組みだなと感じています。1人あたりを算出するのは難しいし、前述の通り、本当の意味での評価をすれば下がる人もいてもおかしくないということもあるので、ボーナスを除く支払い総額を社員数で割れば本来の目的にあった数値が出せそうな気もします。

このブログを書いたスタッフ

プレジデント

ほっしぃ

音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。

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